向かい風参考記録

陸上競技 その他 いろいろ

短距離選手の1度〜2度前後ハムストリング肉離れ治療・リハビリ記録

f:id:Wetland:20190910211959j:plain

どうも、森です。

久々にハムストリングを肉離れしてしまいました。

備忘録を兼ねて治療・リハビリの経過、感覚を記録していきたいと思います。

受傷の概要

受傷経緯

100m走のレースで、フィニッシュ時に右脚の膝裏あたりに「パチッ」という衝撃がありました。

「ギュッ」という感じであれば筋膜炎も考えられますが、今回のそれは完全に肉離れの感覚。

だいたい肉離れ前は疲労があるだとか、筋肉が張っているなど思い当たる予兆があるのですが、今回は何の前触れもなく負傷。

受傷部位

今回は大腿二頭筋長頭を痛めました。他のところも細かい損傷があるかもしれませんが、メインの受傷部位はこの部位でしょう。

重症度

肉離れの重症度を表すグレードは1〜3までありますが、今回は1と2の間くらいです。

f:id:Wetland:20190910212200p:plain

医療法人将優会 クリニックうしたに 資料より引用

グレード1では復帰まで1〜2週間、2では1〜2ヶ月を要するといわれています。

1と2、2と3では天地の差がありますので、実際には1から2くらいの受傷が多いと思われます。 

ちなみに今回の症状はざっとこんな感じでした。

今回の症状

圧痛…あり

ストレッチ痛…あり

陥凹…なし

内出血…なし→3日後に出現

歩行…可能

以前にもう少し酷いグレード2の肉離れを経験していますが、そのときは伸ばそうと思っても可動域がロックされる感じがあり、内出血が表皮に見えるほどではありませんが血が溜まっている感じがありました。

その時は何とか走れるようになるまで1ヶ月、スピードを出して走れるまで2ヶ月を要しました。

治療・リハビリの経過

受傷時からの経過を記録していきます。随時更新予定です。

ゴール設定

治療・リハビリのゴールですが、今回は来月の記録会での復帰を目指して以下のとおり設定しました。

・圧痛の消失

・ストレッチ痛・違和感の消失

・恐怖心なく全力走ができる

9月8日(日)

13時頃に受傷。

ちょっとグラついたせいか、何故か膝の内側も痛い。膝裏含めて力が入らない感じがする。

暑さ対策を兼ねて簡易サポーターの付いた氷嚢は持参していたので、RICEに従って車内で1時間半くらい脚を挙げた体制で横になりアイシング。

氷嚢を持参していて良かった。畳んでおけば氷嚢は大してかさばらないので、できれば大会には持っていった方が良いと思う。

9月9日(月)

内出血があればグレード2の可能性があり、シーズン打ち切りもあり得たが内出血は無し。半休をとり整形外科へ。

待ち時間がメチャクチャ長い。待っている間にヒューマンアナトミーで痛む部位を特定。

f:id:Wetland:20190910210742p:plain

f:id:Wetland:20190910210814p:plain

結果から言うと3分診療で包帯を巻かれ、湿布を処方されて帰されてしまった。 

どうにも内出血がないこと、自力で歩行できることから大した怪我ではないという判断のようだった。

しかし3分診療とは…最初から整骨院に行っても良かったかもしれない。

9月10日(火)

安静が一番ということで12時間くらい寝た。挙上状態を作るのは難しいが、何とかマットなどを重ねて脚を高くした。

とりあえず急性期の48時間(72時間という説もあるが)はアイシング・固定を徹底。

職場にアイスディスペンサーがあるので氷が使い放題なのは有難い。

とりあえず昼をもって48時間が経過したが、念のため明日までは圧迫とアイシングを行う。

歩くと膝下が振り出される局面が痛い。

9月11日(水)

朝起きた瞬間、前日よりも明らかに痛みのレベルが下がっているのが分かった。

問題は昨日の夜まで何とも無かったのに内出血が表皮に出てきたこと。まさか48時間以上経ってから出てくるとは思わなかった。

何故かハムストリング、膝裏をスルーして下腿に降りてきていた。

内出血まで出ているとなればそれなりのダメージなんだろうけれど、主観的には今までの筋膜炎と比較してもそこまで痛くはない。歩行痛も昨日より軽減している。

走れるようになる期間とは別問題。下手に血行を良くするのも怖いので今日までは上半身の補強含め運動はオフ。

9月12日(木)

昨日からAT-miniを久々に引っ張り出してきて使っている。

久々すぎてパッドが劣化していたので替えのパッドを注文。けっこう良い値段がする。

丸3日が経過したので、今日から常時の圧迫・アイシングは打ち切り。

今日は状態確認でごく軽度のストレッチまで。急性期が過ぎたからか、圧痛や歩行痛が更に軽くなっている。

やろうと思えばジョグ程度はできるだろうけれど、塞がりかかったカサブタを剥がすような真似をしても意味がない。

少なくとも1週間が経過するまでは、運動はウォークと補強に留めておく。

9月13日(金)

急性期が過ぎたからか、昨日と劇的な変化は無し。

今日も少しだけ歩き、ストレッチも抑えめに。念には念をということで、伸ばしながらグリグリする類のストレッチは自重。 

明日には整形外科の再診を受けるので、 そこで改めて今後の復帰プランが立つと思う。

また3分診療で帰されたらもう行かないことにしようか。

9月14日(土)

やってしまった。

土曜日の診療は13時までだと思っていたら11時までだった。日・祝は休診なので完全に受診のタイミングを逸した。

疼痛・歩行痛は無くなったものの、やはり伸ばすと芯の部分が張っている。

この張りは自然治癒+外からの何からしら介入した方が良いと思うので、針治療やフォームローラーを入れていく。

9月15日(日) 

久々にジョグ。

弾む感じではなく、体重を前にスライドさせ出てきた足を接地する感じのジョグ。

丸1時間やってみた限りでは、ジョグで痛みはもうない。

脚を引き出す角度なのかタイミングなのか、前方に運ぶ瞬間に時折突っ張るような感じがする。

以前、筋膜炎の突っ張り感が取れない時にダッシュしたら悪化した苦い記憶があるので、少なくともこの突っ張り感が取れるまではスプリントの動きはしない予定。

9月16日(月)

1時間ジョグというメニューが久々だったせいか、なぜか四頭筋が筋肉痛。

スプリントの動きをしているときは接地の瞬間しか使わないので、こういったジワジワくるトレーニングをすると大した負荷でもないのに筋肉痛になる。

表皮に出てくる内出血は相変わらず中々引かない。週末前と変わった点は圧痛が無くなったこと。

ストレッチした際の突っ張り感は相変わらず。 注文していたATminiの新しいパッドが届いた。

サイズもLサイズにしておいたので、寝るときはこれを貼って過ごす。

9月17日(火)

仕事後に行きつけの整骨院へ。やっとマトモな治療を受けられた。

やはり二頭筋長頭の下部(膝裏に近い部分)の肉離れというのは珍しいらしい。

ハムストリング肉離れの多くは上部で起こるらしく、しかも内転筋ごと巻き込む形でやや内側に好発するのだとか。確かに今まで筋膜炎気味に痛めたときも大体は内側か上部だった。

しかも今回は事前に疲労や張りは感じていなかったし、水分補給もしつこいくらいしていた。

内出血を伴う肉離れは初めてだったのでビビりまくっていたが、今回くらいのグレードだと大体1週間目あたりから回復し初めて2週間くらいで殆どくっつくらしい。

運動については2週間経つまで走るのは避けた方が良いとのこと。週末までジョグも封印することとする。ウォークと補強のみで食いつなぐしかない。

9月18日(水)

電気鍼のお陰か、周辺の筋肉の張りがかなり軽減した。

反面、治療の翌日にも関わらず眠かった(だいたい当日に眠くなることが多い)。

結局、ほぼ即寝したので11時間くらい寝た。寝すぎてアップルウォッチの充電が切れてしまったので睡眠計測のアプリで追えなかったのが残念。

疲労が抜けてきたのか心拍数も全体的に少ない値に。

9月19日(木)

損傷箇所の張りが取れてきた。後はこの突っ張り感を解消していくだけ。

できるだけ加温して、フォームローラーやATminiで自助できるところはしていく。

この回復具合で半ば確信したけれど、中高生の肉離れが長期化しやすい原因は早くに動きすぎるところだと思う。

負傷して2週間くらいはチームを離脱させてもらったほうが良い。特に最初の1週間は雑用での立ち仕事も血が溜まるので本当は良くないと思う。

特にシーズン中はいつ負傷してもターゲットとする試合との間隔が短いし、競技場に行くと焦りもあって走りたくなる。

地区の強化練習会にも、毎回負傷している選手がいる。「治ってないなら療養に専念すべきだし、来ても仕方ないから来ない方が良いよ」とは言っているけれど、毎年、毎回、一定数の選手が負傷した状態で来る。

リハビリの過程だったとしても他人と競争する形式の練習はするべきではない。やっぱり競争すると自分が思うより出力が出てしまうし、思わぬ負荷がかかる。

次の強化練習で怪我をしている選手は最初から走らせないようにしよう。

9月20日(金)

前日と状態はあまり変わらず。見た目的には内出血が引いてきた。

ここからは小康状態みたいな感じで、1日1日で劇的な変化をすることは無さそう。

9月21日(土)

キャンプに来た。明日はトレッキング予定。

長時間運転するとハムストリング周りが凝り固まる感じがしたが、普通に動く分には全く問題なし。

やや突っ張り感は残るが、明日のトレッキングは問題無さそう。

9月22日(日)

休憩含めて往復3時間弱くらいのトレッキング。

岩場に登ったり色々動いたが、ハムストリング的には問題無し。むしろ動かしたことによって状態が良くなった感まである。

9月23日(月)

昨日のトレッキングのお陰か、その後の温泉のお陰か、唯一残っていた突っ張り感が殆ど無くなった。

やっぱり学生の頃の肉離れが長引いた原因は早期に走るトレーニングを再開したことだと思う。

血腫や癒痕による引っかかり感も無し。2週間経過したので走るトレーニングを再開しても大丈夫そう。

9月24日(火)

受傷から16日後、久々にダッシュトレーニング。

スピードが上がるのを防ぐために登坂にした。

接地位置が前になるとハムストリングに過負荷がかかるので、真下にプッシュすることだけを意識。プッシュというよりもタッチくらい軽い感覚。

コンディション的には一人でトレーニングする分にはほぼ問題なし。人と競ってリミッターを外すのはまだ怖いくらいの回復具合。

これからは少しずつ脚に速く強い動きを思い出させていく作業になると思う。

9月25日(水)

引き続き登坂。

脚を引きつけて、地面に向かう局面でハムストリングが伸びる感じがする。

先に補強をやって筋肉を慣らしてから走るトレーニングに入るのが良いのかもしれない。

身体そのものが少し脆いというか、接地の衝撃を食らう感じになっているのでウエイトを何回か挟んでおきたい。

9月26日(木)

レスト。今週は少しずつ睡眠負債が溜まっている感じがあったので、今日は睡眠時間を長めにしてみた。

身体の回復過程を工事とするなら、身体の機構が職人、栄養は建材、睡眠は工期だと思う。

職人がいても建材や工期なくしてマトモなものはできない。

9月27日(金)

今日は軽めに身体を動かすに留める。

3日前と比べてもハムストリングが伸ばされる感じが軽減されつつある。

これが筋肉の回復によるものなのか、トレーニング再開による順化なのかはわからないが良い兆候。

今の所は前傾をとって加速するフェイズが一番怖い。

9月28日(土)

地面を迎えに行くフェイズでのハムストリングの伸長感じが無くなった。

スピードは落ちてしまったと思うけれど、全力で走る分には問題なくなったので肉離れの経過日記は終了。

結果・わかったこと

今回はグレード1〜2の中間程度、内出血有りの肉離れでトレーニング再開まで2週間、違和感消失まで20日を要しました。

もちろんシーズン真っ只中であれば20日はビハインドですが、肉離れといえばトレーニング再開まで1ヶ月コースのイメージがあったので、思ったより早期に回復できたと思います。

以下私見ですが、今回の実感した点です。

・急性期のRICE処置はかなり重要

・整形外科はあまり頼りにならない

・トレーニング再開を急くと悪化する

個人的には急性期のRICE処置が明暗を分けたのかなと思います。

高校生の時の肉離れと大きな相違点はここでした。

直後はできるだけRICE処置に忠実でしたし、職場のアイスディスペンサーから大量に氷をパクって丸3日アイシングしました。

高校生の時は圧迫だけで普通に生活してしまいましたが、負傷した次の日は学校を休むなり保健室の先生に頼みこむなりして氷を確保すべきでした。

当時は初めての大きな怪我だったので、自分でも冷静な判断ができなくなっていました。

特に負傷した本人は冷静な判断ができなくなっていると思いますので、周囲の人が強引にでも処置したり、運動をストップさせてやることが重要かと思います。

長々と書いてしまいましたが、この記録がどなたかのお役に立てれば幸いです。