本記事は初期モデルのレビューです。
現行モデルとは若干仕様が異なりますのでご了承下さい。
スポーツをしているのであれば一度や二度、電気治療を受けたことのある方も多いと思います。
実はこの電気治療ですが、出力によって効果や狙いが違うことをご存じでしょうか。
今回はその電気治療器の中でも変わったコンセプトで作られた製品「AT-mini」のご紹介です。
概要
「プリューゲル・アルントシュルツの刺激法則」という法則があります。
刺激の強度と神経や筋の興奮性について「弱い刺激をすることで神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で静止する」という法則です。
一般的な電気治療はこの法則を応用しており、刺激により神経を興奮させ痛覚を麻痺させることで鎮痛をはかっています。出力でいうと30〜40mA前後でしょうか。
では、微弱電流を用いた治療器はどうでしょう。
細胞が回復する際、その周囲には微弱な生体電流が発生するそうです。これを応用し同じような出力の電流を外部から通電することで、身体の修復を促進する狙いがあります。
その出力は僅か40μA。1μA=0.001mAですから、一般的な電気治療器とはアンペア数で1,000倍単位での開きがあります。
AT-miniシリーズは、この微弱電流の原理を用いた治療機器です。
カタログスペック
伊藤超短波株式会社のサイトより引用させていただきます。
スペックはAT-mini2のものです。
マイクロカレントは、もともと人体に存在する電流に似た微弱な電流です。この電流を体内に流すことで、傷ついた組織の修復を早め、損傷部の治癒を促進します。
ほとんど刺激を感じない極めて弱い電流なので神経や筋を興奮させないため、運動後の筋肉痛の軽減に有効です。
出力電流 最大340μA±20%(実効値)
出力電圧 250mV±20%(ピーク電圧値、500Ω負荷)
出力周波数 0.2Hz、200Hz、400Hz (duty50%)
タイマー 最大12時間(プログラムごとに固定)
サイズ (W)45×(D)17×(H)70 (mm)
重量 約60g(充電池含む)
最大連続使用時間は12時間となっていますが、実際バッテリーはそれ以上に保ちます。
下記の3つのモード+出力レベル(3段階)を選択する形になります。
トレーニングで損傷した筋組織に効果的な、鎮痛と治癒を組み合わせたケアモードです。
移動中や休憩中などの体を休めている時にも、トレーニングで損傷した筋組織の治癒を促進します。
トレーニング中など、現場で起こった捻挫や筋肉・関節の痛みといった急なアクシデントに有効です。
最新の現行モデルでは一番下の「PAIN」が「HEAL」に置き換えられていますが、実質的な違いはないそうです。
普通の電気治療器と違うのは圧倒的な使用時間。説明書を「COMB」「CARE」などは12時間付けっ放しでも問題ないような書きっぷりです。
▲12時間付けてても大丈夫
長時間付けていなければ効果が無いというものでもないそうですが、寝ている間も付けっ放しにしていてOKというのは良いですね。
外観
タテ7cm、ヨコ4.5cmの60gということで相当コンパクトです。
▲カバーは別売
旧モデルもpersonalシリーズも「2」と銘打たれているものはチャンネルが2つあります。
1つのチャンネルにつきパッドが2つありますので、2チャンネルですと4箇所に貼ることができます。
▲ストラップも別売
特徴・使用感など
使い方は簡単で、気になるところに貼って通電する。それだけ。
どうも患部の端と端にパッドを貼って挟み込むように配置する…といった必要も特に無いみたいです。
▲貼って終わり
最大出力にした際は若干のピリピリ感はありますが、使っていてもほぼ刺激はありません。
寝ている時や長距離運転などの際に付けていても、特にストレスにはなりませんでした。
ただ、長時間付けていると何だかんだパッドが剥がれたりしますのでネット包帯などと併せて使うのが良いと思います。
良い点・悪い点
エビデンスに基づいた出力設定
微弱電流というのは、ただ弱ければ良いというわけではなく至適な範囲があります。
諸研究を確認した限りでは50 μA〜1000 μAが至適範囲であり、これを超えると微弱電流としての効果は薄いそうです。
AT-miniの出力は最大340μA±20%(実効値)ということでこの範囲内に収まっています。
発売元の伊藤超短波株式会社は元々スポーツ系の医療機器を扱うメーカーであり、この辺りの研究には明るいと思われます。
微弱電流は皮膚潰瘍、褥瘡、皮膚創傷、腱損傷、靭帯損傷、骨格筋損傷に有効とのデータが出ており、中にはコントロール群の倍の速さで治癒した研究もあるそうです。
「やった感」の無さ
いわゆる普通の電気治療と比較すると刺激がほとんど無いため「本当に電気が流れてるの?大丈夫?」と感じることがあります。
それほどに「やった感」はありません。これは良くも悪くもといった所でしょうか。
通常の治療器と違い、長時間やっても身体に疲れが残らないのは良い点だと思います。
パッドの消耗がけっこう早い
長時間の使用を想定した製品なのでバッテリー持ちなどは良いのですが、パッドは普通の治療器と同じような感じです。けっこう消耗します。
当然ですが、皮膚が弱い方は長時間付けた後は少し痒くなったりすると思います。
やや高価
もともと微弱電流の治療器は一部整骨院くらいにしかなく、価格も100万円単位のものが殆どでした。
それを考えると相対的には良心的な価格ですが、定価4万円前後は決して安くはありません。
コンセプトの違う商品とはいえ、安売りしている電気治療器の10倍の価格です。
パッドを使う商品なので、あまりチーム内でシェアするにも向いていません。
総評
以前、腰の治療に使った際は可動域が劇的に回復しました。
現在、肉離の治療で久々に引っ張り出して使っています。アキレス腱にも有効そうなので、何かまた体感効果があれば追記したいと思います。
今回はここまで。