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進化したミズノのフラッグシップモデル、クロノオニキス2を今更レビュー

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今年の日本選手権男子100m、8名の選手のスパイクメーカー内訳はナイキが4で圧勝。ミズノは自社選手の飯塚選手のみでした。

近年は他社に押され気味にも見えるミズノですが、定番モデルやフラッグシップモデルはやはり良い製品が多いと感じています。

今回はそのフラッグシップモデルのひとつ「クロノオニキス2」をレビューしたいと思います。

概要

クロノオニキス2は、2017年からフラッグシップモデルとして追加されたクロノオニキスの後継モデルにあたります。

ミズノ所属の飯塚翔太 選手が開発に携わっており「軽く、薄く、反発があるスパイクを」という当初要望を満たすべく、試行錯誤の上に製作されたようです。

カタログスペック

カタログスペックを確認してみましょう。 

サイズ 25.0~29.0cm

素材 甲材/人工皮革、合成繊維

底材/合成底 原産国

質量 約120g(26.0cm片方

備考 スパイクピン/固定式(7mm)

目的 ・オールウェザートラック専用 ・100~400m/ハードル用

ミズノ公式サイトより 引用

初代オニキスの重量は約125g。何と更に重量を削ってきました。 

ちなみに同じくフラッグシップモデルのクロノインクスは140g。ナイキのズームスーパーフライエリートもこのくらいの重さですから、他社製のフラッグシップモデルより10〜20gほど軽いことになります。 

外観

良くも悪くも伝統的なミズノ然とした外観です。

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▲お馴染みの感じ

オーダーパターンを拡充、ジェットスプリントの新色を出すなどデザイン面で攻勢に出てきたアシックスに対し、あくまで保守的な感じがします。

靴の表面にほとんど縫い目が見えないナイキやアディダスと比較してもステッチがガッツリ入っているなどの違いがあります。

他のスパイクとの比較

初代オニキスとの大きな違いはスケルトンアッパーの採用です。プレートは同じですが、かつてペラペラだったアッパーは全く別のスパイクに進化しました。

前作でペラペラだった部分は補強されており、この補強による重量増をスケルトン化で肉抜きしています。

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▲全体的にちょっと頑丈そうに

見ての通り靴紐を通す部分、つま先周りなどは別物といって過言ではありません。

また、単に補強+肉抜きしただけでなくフィット感が高まるような構造となっています。

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▲横からの外観もかなり違う

特に前作はつま先周りを即死させていたユーザーもいたようですが、擦れやすい小指側のあたりに補強が入っています。

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▲それでも擦るとすぐ削れそうではある

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▲この通りプレートは同じ

サイズ感・使用感など

 

アッパーの変更、個人的にはアリかなと思っています。

前作はあまりにアッパーが柔らかく指がモゴモゴする感じがありましたが、2になってフィット感は向上したように感じます。

「素足にピンが生えたような感じ」と飯塚選手が評したとおり、接地の動きを邪魔したり強制したりしないスパイクです。

サイズ感については他のミズノのスパイクと変わらないように思えました。アシックス、ミズノ共に27.0cmですが、27.0cmで問題なく使用できました。

良い点・気になる点

基本的には前作と同じです。ホールド感・フィット感が向上したのは好材料かと思います。

軽量で高反発。しかも走りを強制せず、邪魔しない。シューズでは良い感じだけれど、スパイクを履くと何だか走りのフィーリングが狂う…みたいな方にも良いのかもしれません。

試合用のスパイクですのでプレートの耐久性はお察しの通りです。

日本製ならではの造りの細やかさ

圧着技術の発達により、他社製のスパイクは縫い目がどんどん無くなってきています。

そんな中、このスパイクはロゴマークまで丁寧な縫製がなされています。

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▲箱にもメイド・イン・ジャパンの文字が

ビビットなカラーやパッと目を惹くような派手なデザインではありませんが、丁寧な造りが特徴です。

かかとのホールド感はそのまま

個人的にはさほど気になりませんでしたが、前作で残念な点に挙げた方もいたヒールカウンター部分。

全体的に補強がなされた今作ですが、この部分はほとんどそのままです。

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▲デザインの詳細だけちょっと違う

他のスパイクと比較しても補強が浅い感じはあります。

相変わらず高価

こればかりはカーボンプレートの原価の関係もあって仕方がないのかもしれません。

ですが、定価34,000円は消耗品としては高いです。まして限定spモデルは5万円近くします。最も競技人口が多い学生には尚更厳しい価格です。

ナイキのフラッグシップモデルであるフライエリートがセールにかかると、この半値くらいの15,000円です。価格競争的にも分が悪いでしょう。

しかも100日使用してダッシュすれば間違いなくヘタるプレートです。そうなれば1日あたり単価は300円以上。スパイク自体は良いモノだとは感じていますが、試合と練習スパイクを兼用している層にはちょっと厳しいですね。

総評

個人的には良い感じに進化したのでは? と思うのですが、どうなんでしょう。

何せネットを検索してもレビューが殆どありません。

決して安価ではありませんが、丁寧な造りやその軽量さは独自の存在感があります。

初代オニキスのユーザーや、クロノインクスが微妙に接地感が合わない…といった方にはオススメです。