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短命に終わったフラッグシップモデルスパイク、クロノブレイクをレビューする

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【caution!】

現在、市販されていないスパイクについての記事です。

 

どうも、森です。

ロングセラーのお菓子や定番商品をはじめ、世の中には「色々な事情」で姿を消してしまうモノがあります。

今回は陸上スパイクにおけるそんな一足、ミズノ クロノブレイクについての話です。

 

概要

クロノブレイクWR-Iは「All for 9.99」というコンセプトのもと開発されました。

その名前の通り、10秒の壁を越えることへの願いが込められていたわけです。

そのコンセプト通り、100〜400m、果てはハードルまで対応しているクロノインクスよりもショートスプリントに特化した設計になっています。

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▲セ◯ターマンのようなツートンカラー

9.99にちなんでか、初代クロノブレイクは2013年に999足限定で発売されました。

まぁ限定の割には予約もせずアッサリ買えてしまったワケですが…。笑

ミズノの力の入れ様が凄かった

廃盤になってしまったスパイクですのでミズノのページからは削除されていますが、アーカイブページから当時の特設ページが見つかりました。

スパイクひとつに特設ページを設けていることからも、当時のミズノの本気度が伝わってきます。

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▲カッコいいローディング画面からの…

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▲ドーン!とカッコよくクロノブレイクが登場!

100mに拘ったスパイク

100、200m対応モデルではありましたが、クロノブレイクは100mに拘ったスパイクでした。

1歩の瞬間を「減速期」「加速準備期」「加速期」に分け、それぞれにアプローチしたギミックを搭載。

「何だかよくわからんが凄いスパイクが出た!」というのが当時の感想でした。

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▲色々凄い説明。最後の図のゴチャゴチャ感とかロマンしかない

やはり特徴はプレート及びピン。ブレーキ軽減のためか、特に小指側のピンが極端に短くなっていました。

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▲ちょっと削れてしまっているものの、元からこんな長さ

 

使用感など

個々人で感じ方が違うとは思いますが、個人的にはスタートからの加速感が抜群でした。

プレートの傾斜・反発・靴そのものの軽量感のバランスが成せるものかと思いますが、足を置くだけでイイ感じの角度で接地・離地できる感じがありました。

クロノオニキスは「邪魔をしない」スパイクと評しましたが、クロノブレイクはそれに比べるとサポート感がありました。

ちなみに200mを走っても全く問題ナシ。むしろアッパーの剛性があって個人的には結構走りやすかったです。

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▲クロノインクスと違って、スケルトンアッパーじゃないんですよね

他のスパイクとの比較

せっかくですので、後継モデルのクロノブレイク2と簡単に比較してみました。

まぁクロノブレイク2も廃盤なんですが。

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▲殆ど同じ造りながら、アウト側の縫い目なんかは結構違う

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▲かかと周りは2でヒールカウンターが入り強化された

全体的には2の方がかかと周りなどが強化されており、洗練されています。

 

プレート構造・ピン配置

手元にあったスパイクを並べてみました。

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▲左からアディゼロプライムsp、クロノオニキス、クロノブレイク、スーパーフライエリート

クロノブレイクだけ小指側のピンが目立ちます。若干プレートも土踏まず部分が広いようにも見えますね。 

良い点・悪い点

サポート性能が抜群

プレートの反発も良く、アッパーの剛性もあり接地の抜け感も良い。

つま先寄りに荷重させられる点は個人の好き好きですが、総じて優秀だったと思います。

クロノインクスと差別化し切れなかった

クロノブレイクは2013〜2016年と短命でした。

クロノインクスがクロノブレイク寄りになったことで差別化し切れなくなったことや、クロノオニキスの登場でフラッグシップモデルが乱立することを避けるため廃盤になったと考えられます。

まるで子安武人とZAZELがシンクロしたかのような消え方です。

耐久性はお察し

オールウェザー専用モデル全般に言えることですが、やはり「試合用のスパイク」です。練習兼用ですと1シーズン持ちません。

クロノインクスもハードに使うと数ヶ月でスリッパ化しますので、こればかりは仕方がありません。 

総評

発売直後は賛否両論分かれたスパイクでしたが、廃盤後も根強い人気があります。

現在はオーダーやSTEPのオリジナル商品として販売されています。

正直、STEPオリジナルは色彩の暴力みたいなスパイクを出してくることがありますので、気に入ったカラーのが欲しい場合はオーダになります。

クロノインクスと同じような使用感でもっと反発が欲しい…という方にはオススメです。

オーダーは結構時間がかかりますのでお早目に。

 

今回はここまで。