【caution!】
本稿は私見が入った記事です。
どうも、森です。
トレーニングというものは、同じような内容でも「実施する順番」によって目的や効果がずいぶん違ってきます。
今日はスプリンターにとって効果的なトレーニング順番について考えたいと思います。
スプリンターを悩ませる問題
トレーニングの実施順について考えたとき、多くのスプリンターは一度は悩むであろう問題があります。それは「ウエイト(筋トレ)とダッシュ」をどのような順序で消化するのか、ということです。
なぜ、通常のトレーニーにはないこのような悩みが出てくるのかといいますと、以下のような理由が考えられます。
- いずれもスプリンターに必要な能力を養成するトレーニングである
- いずれも高強度のトレーニングである
- 組み合わせて実施すると、トレーニング効果が高まる場合がある
筋力、スピード…というのは言わずもがな、スプリンターに必要な能力です。
一方、これらは高強度のトレーニング。一度に複数種目を実施する場合、いずれかのトレーニングの質が疲労により落ちてしまう可能地があります。
解決策を考えてみる
そもそもこの問題、身も蓋もない言い方をしてしまえば「その時のコンディションやトレーニングの優先度による」で終わりです。
前提としてはそうなんですが、ベターな解決策はないのでしょうか。いくつかピックアップしてみたいと思います。
走る練習を優先
「速く走るのが目的なら、できるだけフレッシュな状態で走ることを優先すべき」という考え方があります。至極もっともな意見でしょう。
強豪、東大阪大敬愛高校の柿内監督も「大事なトレーニングは最初に行う」というコンセプトでメニューを組んでおられるようです。
また、パーソナルトレーナーの野上氏はトレーニングの順番について次のように書かれています。
(前略)
これらを一日で行ないたい場合は、行なう「順番」というのがある程度決まっているんです。 ずばりどういう順番かというと
1スピード
2瞬発力
3筋力
と言う順番がセオリーです。 なぜその順番かと言うと、ようするにこれ以外の順番で行なってしまったら「疲れてしまってその能力向上を狙えるレベルのトレーニングにならない」からです。
例えば100Kgのスクワットをガンガン行なった後、「いつも以上に速く」走れますでしょうか? 無理ですよね(^^;
スピードアップのトレーニングは「いかにいままでより速いスピードで各部を動かす事が出来るか?」を目指すトレーニングなので、疲れちゃっていたらそんなスピードがそもそもでるはずありません。 なのでもっともフレッシュな万全な状態(アップが済んでピークパフォーマンスが出せる状態)で望む事が大切なんです。
フィットネス&スポーツ情報発信ブログ より引用
特に全速で走るトレーニングが入る場合は、その順番を優先するべきでしょう。当然といえば当然です。
ウエイト(筋トレ)後に走る
私自身の体感で言えば、この流れで走ると調子が良いです。上手くリキめるとでもいいますか、恐らく腹圧が高まっていることがプラスに働いているのだと思います。
もちろん、ウエイトはオールアウトまで追い込んでいないレベルで実施していることが前提です。
陸上界には「筋トレ後に走ることで、走る動きを筋肉に覚えさせる」という謎理論がありますが、あながち全く何の根拠もないわけではなさそうです。
かの200m、400mの元世界記録保持者のマイケル・ジョンソン氏もこのような流れでトレーニングをしていたようです。
マイケルは週3日朝一でウエイトトレーニングをします。(ウエイトトレーニングを技術練習より最初にする事に注目!:編集部より)
時間は1時間半ほどで、主にサーキットトレーニングとなります。ですからベンチプレスやレッグプレス等のセット間は走っているのです。
ただ、やはり高強度トレーニング後の高強度です。怪我のリスクは当然出てきます。ここ数年、何度か軽度の筋膜炎になりましたが、いずれもウエイト後のダッシュかウエイトの翌日のダッシュが原因でした。
走った後にウエイト(筋トレ)
個人的にはあまりオススメしません。一度やってみるとわかりますが、瞬発系のエネルギーが枯渇しているので出力のスイッチが上手くいきません。
自重を使った「補強」のような強度であれば、効果的なトレーニングだと思います。スプリント・トレーニングマニュアルでも、スプリンターの体重増問題について「ジョグより補強を増やした方が良い」としています。
【参考リンク】
完全に日を分けて実施する方法
「トレーニング順」という前提を取っ払って、実施日を完全分割するという方法もあります。「今日は徹底的にウエイトだけの日」などを決めて実施するということです。
そもそも、高強度のウエイトトレーニングを実施した後に何本もダッシュできる状態というのは不自然です。追い込めていない可能性もあります。
ウエイトの強度が高めの日は、無理して走るトレーニングを組み込まなくても良いのでは、と思います。
まとめ
収拾がつかない感じになってしまいましたが、ざっくりまとめます。
- 一般的には走るトレーニングを先にするべき
- ウエイト後に走る際は怪我に注意すべき
- 走った後の筋トレは強度を下げた方が良い
- 高強度のウエイトの日は、そもそも走らなくても良いかもしれない
「メニューを消化する」ことが目的化してしまうと、どちらも半端な強度になります。特に鍛練期はスプリンターも「ウエイトだけの日」を設けてみてはいかがでしょうか。
次回は「プライオメトリクス」の実施順について書く予定です。
今回はここまで。