どうも、森です。
今日は手短にトレーニングの話題を2本ほど。
「疲れた時こそ効率的なフォームになってくる」説
この説は、当時地区の強化コーチをされていた先生から繰り返し聞いていました。
この先生は、高校生の時点で400m46秒8というトンでも無い記録を叩き出し、U20の日本代表にも選出されていました。
先生の提唱されていた説は、下記のようなものでした。
- 疲れてくると、余計な動きをする余裕がなくなってくる
- 本能的に最小限の力で楽に進もうとする
- 楽に進もうとする動きは効率的である
先生自身、800mも1分51秒という凄まじい記録をお持ちでしたので、確かに無駄のない綺麗なフォームでした。
この説を改めて考えると…
とはいえ、今改めて考えると、この説はトップレベルの選手になって初めて体現できることなのではないかなと…思う次第です。
真偽のほどは定かではありませんが、某所で先生が実施されていたとされるトレーニングが載っていましたので引用します。
200m走×10本くらい行いましょう。
(中略)
練習のやり方 最初から最後まで「とにかく」ベストタイム-2秒以内(可能なら1.5秒以内)で行いましょう。(23秒台がベストなら25秒以内、24秒台で「まとめる」)
最初の3本目くらいまでは「軽め」に走っても出ます。 その後がきつくなりますが、それを耐える練習です。
学校が400mトラックを持っている環境ならば、200m走って、残り200mは「ジョグ」で。 それ以下の環境ならば、200m走った後、スタート地点まで歩くなどして2分~3分の「合間」を取りましょう。
大会日前日はこのようなキツい練習は辞めましょう。 軽めの調整程度で。 恐らく、吐くほどキツい練習ですが、伊東浩司選手と同期の筑波大400メートルの小森勝選手が高校生時代にこのような練習をして以下のような記録まで出しました。(リンク切れ)
BIGLOBEなんでも相談室 より引用
えーと、陸上競技をされたことのない方はピンと来ないかもしれませんが、経験者ならばこのトレーニングのヤバさが理解できると思います。
私の場合ですと200mのベストが21秒9ですので、23秒9以内をジョグ(またはウォーク)つなぎで10本。
23秒9といいますと、2017年高校総体の女子200mで青野選手が優勝した時のタイムが丁度そのくらいです。
私自身100・200m型の選手ということもありますが、何とか耐えられて3本でしょう。そのくらい、この説を提唱されていた先生と私との間に差があったということです。
疲労でフォームはどう変わっていくのか
疲労状態に陥ったとき、そのフォームの乱れ方は千差万別といえます。だいたいは推進力を生み出す動きが失われ、体がブレたり脚が後ろに流れるなど「良くない動き」が強調されることになります。
これが顕著に現れるのは400m走のラスト100mです。下記は2018年日本選手権400m決勝ですが、トップ選手ですらこれだけ動きが乱れます。
これを見る限り「疲れた時こそ効率的なフォームになってくる」という説は、言葉のままですと怪しいでしょう。
疲労時のフォームで残るものを考える
これについては、以前の記事で少しだけ似たようなことを書きました。
【参考リンク】調子が悪い時の走りほど記録しておいた方が良い理由
疲労していくにつれフォームから推進力を生み出す動きが失われていく様は、あたかもタマネギが外側から剥かれていくようでもあります。
好調時のフォームと疲労時のフォームを比較したとき、最後まで残っている部分があるはずです。
もしかすると、それがその個人の「走り」にとって本質的な部分ではないでしょうか。
まとめ
私自身、当時はこの「疲れた時こそ効率的なフォームになってくる」の本質をなかなか掴めませんでした。(今も本質を体現できているとは言い難いですが…)
それは、この言葉をそのまま受け取っていたからに他なりません。単純に考えれば、疲れているときのフォームを強調しても速くはならないでしょう。
楽な動きを探そうとする中で、走りの本質的な部分を探る…というのが正確かもしれません。
「あさひなぐ」の合宿シーンで「楽に流されれば芯を失う。芯を失えば体は楽だが力が逃げる。」という台詞があります。
あさひなぐ 25巻より 引用
「楽なフォーム」と「速いフォーム」には少しズレがあると思います。
競技をしていく中では何度か「マジで死ぬんじゃないか」というトレーニングをする機会があると思います。そこで何を掴むのかで、その後が大きく変わってきます。
無駄死にしないようにしたいですね。
今回はここまで。