どうも、森です。
10月いっぱいはトレーニング休養を決めていましたが、恐ろしいことにそろそろ1ヶ月が経ちます。被災地送りになったりしましたので休養期間が短く感じます。
そろそろシーズン締めの頃かと思いますので、今回はオフでの休養期間について書いていきます。
休養期間を設ける意味
前提条件として、なぜ休養期間が必要なのか考えてみましょう。
言わずもがな「心身に負荷がかかっているから」です。
特に競技スポーツをしていると、レベルが高まれば高まるほど身体は本来のナチュラルな状態と乖離していきます。
人間は、トレーニングせずして100mを10秒台で走ったり、42.195kmを2時間半くらいで走ったりできるように作られてはいません。
シーズンオフでは、まず慢性的な負荷による心身の疲労をリセットするべきでしょう。
他にも、ざっと思いつく限り休養期間には色々なことができます。
・怪我を治す
・シーズンの振り返り・反省
・来シーズンの目標設定
・トレーニング計画の作成
トレーニング関係のことばかり書いてしまいましたが、何も考えずにぼーっとする時間を作るのも良いです。
どのくらい休むべきか
こればかりは決まった答えはありません。
その人の体質や競技レベル、学生であれば所属チームのスケジュールもあるでしょう。
学生チームの場合、だいたい1週間〜3週間くらいの休養期間が多いでしょうか。
テスト休みが合わさって3週間、って感じですかね。
短距離の有名選手ですと、世界大会のリレー代表・藤光謙司 選手は長めの休養を取るようです。
(前略)日本の選手は1,2週間程度休んだら冬季を始める選手が多いのかなと。僕の場合は1月半〜2ヶ月位休みます。「それくらい休まなきゃ疲れ取れないでしょ」と。それも長く続ける一つの要因だと思っていて、ひとつひとつリセットしていかないと、細かい疲労が蓄積されて言っちゃうのかなと思うんです。
藤光謙司選手インタビューより引用
トップ選手でありながら2ヶ月休養というのは凄いですね。
どのくらい休んでも大丈夫なの?
「どのくらい休むべきか」はハッキリしませんが「どのくらい休んでも大丈夫なのか」については、いくつかの知見が示されています。
今回は、名古屋大学 総合保健体育科学センターの石田浩司 先生が出されている「ディトレーニング(トレーニング中断)」に関するレポートを参考に考えてみましょう。
スピード能力は,ディトレーニングであまり 低下しない
→筋収縮速度を規定する筋線維組成 (速筋線維と遅筋線維の比率)が, 遺伝的に決まっているため
(中略)
・筋力はディトレーニングによって,トレーニング期 と同様またはやや遅い速度で低下する
・トレーニング中止2週間程度は,ほとんど落ちない
・初期レベルまでは低下しないことが多い
・鍛練者は低下の程度が大きいが,非鍛練者のレベル まで低下しない(はず?)
Deconditioningとは ー“衰え”とその対抗策を科学するー より引用
この「2週間くらいなら筋力はほとんど落ちない」という話は、ちょっと調べると色々な論文が出てきます。したがって、ある程度信頼できる情報かと思われます。
まずは最低2週間から
何だか化粧品の売り文句みたいになってしまいましたが、まずは2週間休んでみてはどうでしょうか。
あまり自覚がないところで筋や腱にダメージがあった場合でも、肉離れのグレード1程度の損傷であれば2週間でかなり改善されるはずです。
おすすめは4週間
まず2〜3週間はスポーツのことを殆ど考えない期間とします。
後回しにしていた勉強や行きたかった場所、読みたかった本を一気に片すのも良いでしょう。
休養期間最後の1週間に来シーズンの目標やトレーニング計画を考え、心の準備をして冬期モードに入っていくイメージです。
とはいえ、学生ですと4週間休養はちょっと現実的に難しいでしょうか。
トレーニングを再開した時、まず何をするべきか
トレーニングを中断した場合、筋力よりも持久力が先に低下することがわかっています。
・持久力(最大酸素摂取量)は,ディトレーニング 1~2週で低下し始める
・低下の程度は,トレーニング時の増大よりも緩やか
・初期レベルまでは低下しないことが多い
・鍛練者は低下の程度は大きいが,非鍛練者のレベル まで低下しないDeconditioningとは ー“衰え”とその対抗策を科学するー より引用
トレーニングを再開して3週間程度は、短距離選手でもロングジョグやサーキットトレーニングを取り入れて身体を慣らしていくのが良いでしょう。冬期の基礎づくりの更に基礎を先につくっていく感じです。
というか、これを見ると長距離選手は大変ですね。冬は冬で駅伝・ロードレースに出る選手もいるでしょうし、いつ休んでいるんでしょう…。
どのくらいで体力は戻るの?
私は去年も1ヶ月の休養としましたが、筋力は2週間ちょっとでかなり戻りました。
ただし、持久力の積み直しをおろそかにしてしまったので、しばらく持久系のトレーニングが辛かったです。特に肺より心臓がキツイ感じがしました。
やはり、トレーニング再開の時期にある程度の水準まで持久力を回復させておくのが良いでしょう。
思い切って休もう
中には「休むのが怖い」という選手がいます。
気持ちはわからないでもないです。だって、オフ期明けには確実に衰えているわけですからね。
しかし、冬期に強度の高いトレーニングを予定しているのであれば、やはり10月から11月の間はどこかでまとまった休養期間を設けるべきです。
「どうしても休むのが怖い、休んだらメンタルに悪い」と思うのであれば、普段のスポーツ種目から離れたものをやるのはどうでしょうか。
自転車、登山、ボルダリング、テニスなど持久力を保てる種目で気分転換しつつ、トレーニング再開時にスムーズに冬期練習に移行するのが良いでしょう。
良いシーズンオフをお過ごしください!
今回はここまで。
【参考】
Deconditioningとは ー“衰え”とその対抗策を科学するー