北海道の東端には、砂の堆積でできた最果ての半島があります。今回はその「野付半島」を訪ねてみました。
概要
エビが背を丸めたような形とも形容される野付半島は、根室海峡に突き出た全長約26kmの日本最大規模を誇る鉤状の砂嘴(さし)です。野付半島は「北海の天の橋立」とも呼ばれ、半島以北の河川から流出した砂礫が海流によって少しずつ堆積し、約3,000年前にできたと言われています。
野付半島ネイチャーセンター内キャンプション より引用
野付半島は見てのとおり、永きに渡る自然現象の蓄積で出来た土地です。その上にミズナラやトドマツなどの樹木が生え、それらが潮の影響により立ち枯れて独特の景観を形成しています。
▲湾内には独自の生態系も
地図を見れば説明不要レベルの過酷な環境ですが、何と江戸時代の末期には5〜60軒ほどの番屋が建ち並ぶ集落があったとされています。当時盛んだったニシン漁のためとはいえ、並々ならぬバイタリティです。
アクセス・営業時間など
野付半島は基本的に常時開放されていますので、奥にあるネイチャーセンターの営業時間を掲載します。
営業時間:9:00〜17:00(10〜3月は16:00まで)
定休日:年末年始
入場料:無料
札幌圏からは車でノンストップでも6時間以上かかります。公共交通機関もほぼ通っておらずアクセスはお世辞にも良いとは言えません。知床からは近いので、こちらの方面に旅行に来た際にセットで立ち寄るのがお勧めです。
周辺を散策してみる
今回は半島の根元まで車で行き、そこからは自転車でネイチャーセンターまで行きました。信号もなく平坦な道なので、風向きが良ければ順調に進めるでしょう。
▲距離感がバグりそうなほど広大な道
途中まではこのように快晴でしたが、途中から一気に霧が立ち込めてきました。右手に見えていたミズナラの立ち枯れが並ぶ「ナラワラ」達も完全に霧に覆われてしまいました。
▲これはこれで良い
幸い風は無かったので、水鏡のようになった野付湾を見ることができました。霧と相まって、まるで異界のようです。
▲ニーアオートマタみたいな彩度
▲この地面の素材?は何なんだろう
あまりにも視界が悪くなってしまったので、今回はネイチャーセンターを終点として散策は打ち切り。その先のトドワラ(トドマツの立ち枯れ群)と灯台までの散策は次回に持ち越しとなりました。
野付半島ネイチャーセンター
閉館まであまり時間がありませんでしたが、ネイチャーセンターにも寄ってきました。1階にはレストランと売店、2階には資料とギャラリースペースがあります。ゆっくり写真を撮りながらここを目指すのも良いですが、野付半島と訪れた際はネイチャーセンターに寄ってから周辺を散策するのが良さそうですね。
▲手作り感ある展示が多め
2階には湾内を眺められる双眼鏡も設置されていましたが、霧の影響で1ミリも見えなくなっていました。
▲こんなに見えない事ってあるんですかね
「最果て」の異名に偽り無し
今回は途中での散策打ち切りとなりましたが、凪いだ野付湾はまさに異界。多少天気が悪くとも探訪の価値があると思います。現在は年間約1.5cmずつ地盤沈下しており、将来は孤島となり消滅する可能性があるそうです。
立ち枯れた樹木たちも年々風化しており「見る度に景色が変わる」とも言われるこの景色。折を見て再訪したいと思います。
今回はここまで。