本記事は2018/9/24に投稿されたものをリライトしています。
「冒険している感があって、観光客でゴチャゴチャしていなくて、アクセスの良い秘境に行きたい!」そんな矛盾した欲望を胸に、支笏湖畔「苔の回廊」を探訪してきました。
このときはそのまま風不死岳にも登りましたので、今回はその探訪記録を再掲したいと思います。
概要
「苔の回廊」は千歳市の支笏湖近辺に位置する枯れ沢です。永い年月をかけて両岸が水で削られた跡に苔が群生し、独特の景観を形成していることからこの名前で呼ばれています。
アクセス
GoogleMap上では「苔の回廊」は森の中を指していますが、実際には国道453号沿いの「紋別橋」からスタートするのが確実なルートです。
札幌市からは車で1時間半もあれば辿り着ける距離ですし、千歳市の空港からでも30分強でアクセス可能。
駐車場はありませんので、橋のサイドにあるちょっとしたスペースかモラップキャンプ場の無料駐車場に停めて2km弱歩くことになります。個人的にはキャンプ場の方に停めて歩くのがオススメです。
目印は青い看板
周辺は携帯の電波が圏外ですので、予め大まかな場所だけは把握しておきましょう。453号をまっすぐ行っていれば目印の看板を見落とすことはないと思います。
▲橋にも「紋別橋」と書いてある
枯れ沢ですが、ちゃんと「楓沢」という名前が付いています。苔の回廊というのは正式な名称ではないため「楓沢」と呼ぶ人もいます。
苔の回廊〜風不死岳探訪
苔の回廊は全部で3つの回廊があります。第1回廊の突き当たりまでで1時間弱、第3まで行くと2時間程度でしょうか。風不死岳まで完登すると1日仕事になりますので、持ち時間と体力に合ったコースを選択すると良いと思います。
第1の回廊
紋別橋を下り、ひたすら上流方向に歩きます。地面がちょっと砂っぽいので、靴はスニーカー よりトレッキング用のものをお勧めします。
▲トレランコースに良さそうな地面
20分ほど森歩きすると、苔むした岸壁が姿を現します。ここから第1回廊です。
ここは樽前山が噴火した溶岩を沢水が浸食して形成された道だそうですが、なるほど確かにこの曲線は水の流れそのものです。
しかしながら岩石が形成され、それが人が通れるほどの広さまで水流で浸食され、その跡が苔むすまで、どれほどの時間を要したのでしょうか。人間の力の及ばない自然を目の当たりにしている気がします。
歩き始めから1時間経たないくらいで、岩が重なった行き止まりに当たります。ここで第1の回廊が終了です。第2回廊に行く場合もここで一旦休憩しましょう。
以前は岩の向こう側にこのような洞窟っぽいスペースがあったのですが、崩落してしまったようです。
▲けっこう大きなスペースだった
探訪当時も洞窟の天井(?)から水が流れ出ており「ここ大丈夫かな…」と思ったものですが、大丈夫じゃありませんでした。
第2の回廊
第1回廊突き当たりの脇にある急坂を登り、第2回廊に移ります。ここまでは一直線でしたが、ここからはピンクテープなどの目印をしっかり見ながら進まなくてはなりません。
▲体力に不安のある人は第1回廊で引き返すのが吉
ピンクテープの見えにくい箇所などは先駆者の厚意で目立つように石や枝が積み上げられています。本当にありがたいものです。
▲逆行防止の枝バリケード
第2の回廊は道がやや狭まり、岩石のスケールが大きくなってきます。
ちょっと見にくいですが、友人のニシくんとの対比です。岸壁はゆうに5〜6メートルあるでしょうか。とにかく第1回廊とは違った、荒々しい表情です。
▲森に住む小人みたくなっている…
また、この辺りからは設置された木を登っていかなくてはならない箇所もあります。写真で見ると低く見えますが、ちょっと生身では登れない高さです。
第3の回廊〜風不死岳
第3回廊以降は完全に登山です。2回廊までの探訪記録で終了しているサイトが多いですが、三脚含めた機材を持ちながら第3回廊〜風不死岳は骨が折れるでしょう。写真メインであれば第2回廊までで十分です。
▲ピンクテープを頼りに登る
第3回廊はやや開けた場所があったり、さながら庭園のような空間が見られます。何となく「和」といった感じの出で立ちです。
それぞれ表情の違う回廊を堪能したのも束の間、風不死岳の登山ルートに合流できず一度迷いました。正規の風不死岳登山道ではありませんので、何かを見落としやすくなっていたのでしょう。
稜線に出て強引に登山道に合流。深い谷などがなかったのが幸いしました。
▲見つけたとき「助かった…」と思った看板
残念ながら途中で天候が崩れてしまったので、撮影はほぼできずにサッと登って下りてくる格好になりました。
▲山奥なのにゾッとするほど整った草原
▲この辺りからガスり始める
▲風も吹いていたので足早に退散
写真を撮ったり途中で迷ったため、何だかんだ往復8時間ほどを要してしましました。途中で小まめにモノを食べながら歩いていましたが、帰ってからハンガーノック(低血糖)状態になりました。
行きたいときが行き時
新緑の季節は苔が元気ですし、紅葉の時期は木々と苔のコントラストを楽しむことができます。冬もトレッキングツアーがあるなど、自然の景勝スポットとしては珍しくハズレ時期というものがありません。行きたいと思った時に行くのが良いでしょう。
稜線に出るまで携帯の電波は圏外ですので、万一のことを考え複数人での探訪をお勧めします。また、一応ヒグマの生活圏ですので、熊鈴は忘れず携帯しましょう。
今回はここまで。