本稿は私見が含まれた記事です。
新型ウイルスの関係で各種大会が中止や順延を余儀なくされていますが、冬期トレーニングも終盤。中止になった記録会の代わりにコントロールテストを実施するチームもあると思います。
チームでのコントロールテストは人数や設備の関係上、できるだけ容易に実施できる種目が望ましいでしょう。今回はそのひとつ「ホッピング」の有用性についての話題です。
概要
「ホッピング」は片脚で連続跳躍を行う種目、もしくはトレーニングを指します。短い接地時間で大きな力を発揮することはもちろん、着地で潰れない基礎筋力や遊脚の切り返し技術も求められます。
シンプルな種目ながらバリエーションは豊富で、コントロールテストの実施方法ひとつとっても助走の有無やスタート踏切(両脚or片脚)、歩数制限など様々な条件設定が可能です。
また、トレーニング場面では右・右・左・左…のように変則バウンディングのような形で実施されることもあります。
研究紹介
今回は陸上競技研究紀要第11巻より「中学陸上競技者におけるコントロールテスト結果と競技成績の関係」をご紹介したいと思います。
対象
全国で行われたタレント発掘事業のうち、中学生の結果が対象となっています。男女のサンプル数には差がありますが、いずれも1,000人以上となっています。
研究の内容
性別、学年、身長、体重、専門種目及び自己ベストの数値と「20mホッピング(歩数)」「クイックジャンプ前後(回数)」「クイックジャンプ左右(回数)」の3種目の数値を基に分析が行われています。
ホッピングでは立位姿勢から利き脚での片脚連続跳躍を行い、20mに要した歩数を計測しています。
結果
「20mホッピング」と各競技種目の記録の間には、男子で11種目、女子では9種目において有意な相関が認められました。
特筆すべきは跳躍種目のみならず、100m、砲丸投、3000mといった広い種目の記録との間に相関が認められたことです。
相関係数の程度に差はありますが(〜0.4:弱い相関、〜0.7:中程度、0.7〜:強い相関)クイックジャンプと比較し、ほぼ全ての種目で相関が認められる結果となりました。
また、この中でも妥当性が認められた種目については基準表が作成されています。
20mホッピングで5.5歩というのはかなりハードルが高いように思えます。恐らく推計した数値を使用しているので、真ん中あたりの数値がより妥当性が高いものなのではないでしょうか。
男子選手でいえば7歩切り、女子選手は8歩あたりがひとつの目標になってくると思われます。
まとめ
・ホッピングには様々な身体能力が求められる
・20mホッピングは広い種目の記録と相関がある
今回ご紹介した研究では「中学生の資質を評価するために有効であることが示唆された」と結ばれていますが、基準表の一番上は400m47秒0や3000m8分01秒のような中学記録を余裕で上回る超記録が踊っていることから、精度については今後更に仔細な検討がなされていくものと思われます。
基準表は鵜呑みにせず、チーム内で競ってみたり個人内の変動を見ていくのが良いかもしれませんね。
今回はここまで。