近年、運転者の高齢化などによって悲惨な事故が取り沙汰されることが多くなりました。
このようなケースだけ見ていると事故が多いように感じますが、実は交通事故死者そのものは年々劇的に減少しています。平成30年は統計開始以来最少の3,532人となり、交通事故で年間4,000人以上が犠牲になっている、というのが一昔前の常識となりました。
人口そのものが減少傾向にあることも一因でしょうが、今年も全国的に事故死者数は減少傾向です。
そう、北海道以外は。
北海道と交通事故
ご存じの方も多いでしょうが、かつて北海道は不動の交通事故ワースト1でした。
年間の事故死者数が1975〜85(昭和50〜60)年、1992〜2002(平成4〜14)年で11年連続で全国ワースト1を記録。
そのせいで、今でも年配の方の中には事故死者数のワースト1が北海道だと思っている方がいるほどです。
翌年からは愛知県が16年連続のワースト1を記録し続けていますが、北海道の順位は徐々に下降。何と平成29、30年に至っては全国8位まで順位を下げるに至りました。
下の表は各年における北海道の順位、道内の事故死者数、全国の事故死者数の変遷です。
公益財団法人北海道交通安全推進委員会webサイト より引用
全国の事故死者数そのものも15年前と比較し半減。連続ワースト1の愛知県も事故死者を年々減らしています。
今年の事故状況
ところが、今年の事故状況は混沌としています。
下は愛知県警のwebサイトで公表されている10月末〆での事故死者数です。
何と16年連続ワースト1の愛知県は3位。代わりに千葉県が暫定ワースト1となっています。
そして、近年は着々と順位を下げていた北海道が2位まで上がってきてしまっています。
しかも、ワーストランキング10位入りを果たしている中で前年比の件数を増やしているのは北海道だけです。
さすがに関係機関もマズいと感じたのか、10月30日付で北海道知事から「全道交通死亡事故多発警報」が発表されています。
慣れない運転者も事故原因のひとつ?
交通事故発生の原因を断定することはできませんが、年々増加する道外からの観光客も事故増加の要因の一つでしょう。
北海道経済部観光局の統計では、道外・外国からの観光客は増加傾向にあるようです。
レンタカーなどで道内を観光された方ならお分かりかと思いますが、北海道はとにかく案内表示が不親切です。
現在は北海道も観光・景観対策といった観点から整備を進めていますが、まだまだ手が回らないところが多いのが現状。
まして、カーナビで表示される裏道などは地元民がとんでもない速度を出している箇所が多々あります。不慣れな道で一時停止をウッカリ見逃して接触してしまうと、即大事故に繋がります。
案内板や白線が朽ちかけていたり、見通しの悪い危険箇所は早めの整備が必要でしょう。放置していては観光面にも悪影響が出そうです。
取り締まりについて
各所でも降雪が見え始め、これから冬本番となります。
事故集計は「年度」ではなく「年」単位なので、あと2ヶ月。道警も必死でワースト1を回避しようと取り締まりを強化すると思われます。
「取り締まりが強化されるから注意して運転する」というのも変な話ですが、11月11日からは「冬の全国交通安全運動」も始まります。
観光で来られる方々も、運転にはくれぐれもご注意下さい。
今回はここまで。