向かい風参考記録

陸上競技 その他 いろいろ

陸上競技は高校・大学から始めても世界大会に出られるかも…?という話

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caution!

本稿は私見が含まれた記事です。

オリンピックや世界選手権に出場しているスポーツ選手は、その多くが小さい頃からその競技に取り組み「天才」として頭角を現していたことがわかります。

一方、陸上競技は中学で全国大会予選落ちの選手や、高校から競技を始めた選手が世界大会に出場することも珍しくありません。

では、そういった選手はどのくらいの割合でいるのでしょうか?今回はそんな話題です。

概要

特有の技術を要するスポーツで世界大会に出場するような選手は、物心がついた時には競技を始めていたケースも珍しくありません。

中には「世界大会を目指すなら、小学生になってから始めるのでは遅い」とされる種目もあるのだとか。

そういった種目と比較すると、陸上競技は比較的フィジカルが優位のスポーツです。敷居の低さからか、同じ世界大会に出場する選手の間でも競技を始めた年齢にばらつきがあります。

中には高校卒業後に競技を始め、世界大会に出場するようなケースもあります。 

研究紹介

今回は、日本陸上競技連盟が発行した2013年の陸上競技研究紀要に掲載された「オリンピック・世界選手権代表選手における青少年期の競技レベル -日本代表選手に対する軌跡調査-」をご紹介したいと思います。

対象

1960〜2009年までのオリンピックまたは世界選手権に出場した411名のうち、104名(男子67名、女子37名)分を分析の対象としています。

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こうして見ると中長距離選手が若干多めでしょうか。 

研究の内容

アンケートを郵送し、小学〜高校生期において中心的に取り組んでいたスポーツとその最高成績を集計しました。

競技成績の区分は以下の通り。

・国際大会出場

・全国大会優勝

・全国大会入賞

・全国大会出場

・県大会入賞

・県大会出場

・その他

「その他」は「地区予選落ち」「レギュラーになれず試合に出られなかった」も含めた項目ということでしょう。

結果 

小学生期

まず小学生期の競技名、成績は以下のとおりでした。

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スポーツで全国大会出場水準以上の成績を収めていたのは4名。

実に全体の84%は都道府県大会に出場もできていなかったことがわかります。

ちなみにこの時点で陸上競技を専門としてたのは104名中、わずか6名。

全体的に掛け持ちでスポーツに取り組んでいた方が多いようです。

中学生期

部活という形で競技を始める選手も多いであろう中学生期ですが、結果は以下のとおりでした。

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男子は70%、女子は65%が陸上競技を中心に実施するようになっています。 

ということは、世界大会に出場するような選手でも3割くらいは中学校卒業後に陸上競技を始めていることになります。

(掛け持ちで既に始めている選手もいるでしょうが…)

この頃から頭角を現す選手も増え、全体の39%が全国大会に出場しています。

高校生期

競技が本格化し始める高校生期。結果は下記のようになりました。

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ごく一部の選手は陸上競技をまだ始めていないか掛け持ちですが、さすがにこの年齢では殆どが陸上競技を始めています。 

この頃には全国大会入賞・優勝者もグッと増えています。

男子の85%、女子の68%は全国大会出場水準以上で、男子の67%、女子の51%は入賞以上の水準であったことがわかります。

とはいえ、この段階でも都道府県大会入賞の水準以下の選手もいます。

まとめ 

陸上競技で世界大会に出場した選手の特徴としてはこんな感じでしょうか。 

・小学生期は他競技との掛け持ちの選手が多かった

・中学生の時点で全国大会に出場したのは約4割

・高校生の時点で全国大会に出場したのは約8割

後に世界大会に出場するような選手でも、2割ほどの選手がインターハイ出場を逃していることになります。

もちろん競技種目ごとのサンプル数が異なることなどからデータには偏りがあり、一概には断言できません。

本文では次のように考察されています。

小・中学生の段階で全国トップクラスにいなくても,将来,代表選手になれる可能性があるということである.

短距離と跳躍では中学生期の競技成績がある程度タレント発掘の指標になるかもしれないが,全国大会に出場していなくても,高校生期で全国大会に出場または入賞している者も多く存在している.

中学生期の競技成績があまり高くなかったからといって中学までで辞めさせないで,高校でも陸上競技を続けるよう,指導者が促 すことが重要である.

高校生期に全国大会出場者がグッと増えるのには、高校から種目数が増え、転向し易くなることも関係していると思われます。

400mH、3000mSC、5000m、10000m、競歩、三段跳、円盤投、やり投、ハンマー投げ…これだけの種目が追加されます。

「何かスポーツを始めてみたい」という方にも、陸上競技はオススメです。もしかするとオリンピックに出られるかも…!? 

 

今回はここまで。