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当代一を誇った夢の里「オタモイ遊園地」跡地を訪ねる

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どうも、森です。

寂れたスポット系の記事は死ぬほどアクセスがないのですが、個人的趣味なのでご容赦下さい。笑

 

海の街、ということで北海道内でも古くからの歴史がある小樽市。

今でこそ水族館、運河やガラス細工などで観光地としての認知度がありますが、戦前は商業都市としての側面が強く、観光といった雰囲気は無かったそうです。

そんな時代、一人の男が発起人となり当代一のリゾート地「オタモイ遊園地」が建設されました。今回はその遺構の一部を尋ねました。

概要

「オタモイ遊園地」跡地はその名の通り、小樽市の北部・オタモイ海岸に位置します。「オタモイ」とはアイヌ語で「砂の入り江」を意味するそうです。

今では静かな景勝地といった佇まいですが、昭和初期から戦後にかけて巨大なリゾート地が存在しました。

発起人は小樽市内で繁盛していた割烹「蛇の目」店主の加藤秋太郎 氏。

「小樽には見所がない」という知人の言葉に奮起し、現在の価値で数億円(一説には4億円)を投じ昭和11年「夢の里オタモイ遊園地」を完成させました。

その規模は当代一を誇り、中でも中核施設である宴会場「竜宮閣」は京都の清水寺をも凌ぐと言われたそうです。切り立った岩と紺碧の海に囲まれ、まるで竜宮城のお伽の世界のようだったとか。

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北海道ファンマガジン より引用

今だったら建築許可が出ないであろう位置ですね…。

最盛期には1日数千人が訪れたそうですが、開園から約5年後に戦争が始まると施設は休止。

終戦後の昭和27年5月、営業再開を目前に控えながら焼失。火事の原因は漏電とも調理場の不審火とも言われています。 

その後は小樽市が土地を管理し、この観光資源を何とか活用しようと模索していたようです。

以前は施設跡地への遊歩道を解放、近くにはキャンプ場もあったようですが平成18年3月30日の土砂崩れにより閉鎖。

現在は持て余され、半ば放置されたような格好になっています。

アクセス

オタモイ遊園地跡地は小樽市街を北西に進んだ場所にあります。 

遊園地跡地に至る道は曲がりくねっており注意が必要ですが、施設跡地はちょっとした広場のようになっており駐車場所は問題なさそうです。

営業当時はココを送迎バスがバンバン通っていたそうですが、にわかには信じがたいくらい閑散としています。

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▲ここ一帯にも施設が建っていたのだとか

 

オタモイ遊園地跡地周辺を散策してみる

かつて1日数千人が訪れたリゾート地があったとは信じられないほど静かです。

景色は恐ろしく良いですが、見渡す限り海と崖。今となってはほとんど立入禁止区域となっています。

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▲落石・崩落注意。マムシも出るのだとか

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▲付近にはヨットや遊覧船の姿も

「竜宮閣」(と言っても基礎しか残っていませんが)に至る道は崩落・落石注意につき立入禁止となっていますが、遠くからその遺構を眺めることができます。

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▲送電線?のようなモノも見える

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▲左手のトンネルを抜けて竜宮閣に至る。建設は大変な作業だったそうな

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▲この赤い柵のような部分が竜宮閣跡地

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▲解説の看板もちょっと朽ちている

もうちょっと周辺を探索してみる

「砂の入り江」とは言いますが、ほとんど砂地部分は見当たりません。

海自体は浅いので、シッカリした装備さえあれば海岸沿いに歩いていくこともできそうです。

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▲晴れている日は遠くの山まで見える

唯一マトモに現存する施設「オタモイ唐門」もついでに見ていきましょう。

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▲こんな施設がアチコチに点在していたという

まさに「夢の跡地」

北海道の廃墟は炭鉱の盛衰やバブル崩壊によるものが多いですが、ここは数少ない例外。

崖に建物を建設するため海から資材を運び、建設には死者も出たそうです。

まさしく夢と執念が詰まった「夢の跡地」です。今となっては観光地ではありませんが、美しい海が広がっています。

静かな景色の中、当時の情景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

www.youtube.com

 

今回はここまで。