向かい風参考記録

陸上競技 その他 いろいろ

短距離選手(スプリンター)がパワーマックスをするときの目標・頻度・負荷はどうするべきか

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/W/Wetland/20190410/20190410000815.jpg

caution!

本記事は2019/4/9に投稿されたものをリライトしています。

体力強化やリハビリの一環でパワーマックスを始めたものの、この数値がどのくらいのレベルなのか分からない。

そんな方のために、備忘録を兼ねてパワーマックスにおける目標値や頻度、負荷についてまとめてみました。

スプリンターが目指すべき数値

例えば100m10秒台相当を目指すにあたり、目標とすべき数値はどのくらいでしょう。今回は2箇所から引用させて頂きます。

まずはマスターズでも活躍されています赤堀 選手(100mPB10秒3)のブログから引用させていだだきます。 

集中の仕方次第で数値が激変するので 集中の仕方の確認の意味もある。

4kp 205 7kp 168 10kp135と300m35秒前半で10秒台って感じ。

一緒にトレーニングしてる選手では、4kp225回すのがいたり、10kp159まわす選手がいる。

46歳スプリンター Tiger blog より引用

次に、オホーツクACの金子 選手(走幅跳PB7m61)のブログから引用させていただきます。 

のおすすめは体重の7.5%(体重×0.075で数値をだせます)の負荷で7~10秒こぎ続けるトレーニング.

回転数200が最低ラインの目標と選手達には伝えています.回転数が200あたりいけば,関東ICのB標準記録ぐらいは突破できる選手になれる(はず).

今まで選手を見てきた経験からですが・・・ある程度の記録を持っている選手は回転数200の前後あたりではこぐことができています.

陸上競技クラブ オホーツクAC/キッズ代表 金子航太のブログ より引用

お二方ともかなりの実績を持たれた競技者で、かつ指導者としても活動されています。私の記録の変遷からみた実感としても、概ねこの通りかと思います。

参考までに、私が10秒台を出せたシーズン中の数値が4kp-209 7kp-168 10kp-119 です。上記の赤堀 氏のブログの数値と比較すると10kpがやや劣っていますが、概ねこの基準上です。

ちなみに冬季にある程度回せていた時はこんな感じでした。

f:id:Wetland:20180819193352j:plain

パワーマックスは体重が重い方が回りますので、特に10kpの135回転などは体重の軽い選手や高校生あたりにはかなりキツい数字でしょう。

個人的には4kp200回転がひとつの到達点ではないかと思っています。

また、体重の7.5%が「軽い」と感じられ7秒200m回転をオーバーしてくると地力が付いている実感が出てくると思います。

トレーニング頻度の目安

サプリメントやスポーツ器具販売を手がける「ヴィクトジャパン」のwebサイトにそれらしい情報が載っていました。

リンク先には400m、800m選手や投擲選手用の目安もありますので、気になる方はご確認ください。

f:id:Wetland:20190410004937p:plain

ヴィクトジャパンwebサイト より引用  

率直な感想として、思ったより頻度が高いです。

週4〜5回となるとトレーニング日はほぼ毎回パワーマックスをすることになるし、短短(100m200m)の選手がミドルパワーを週3も入れたら死にます。

…と思ったのですが、赤堀 選手は昔そのくらい実施していたっぽいですね。 

当時一回のトレーニングで無酸素トレーニング、ハイパワートレーニング(10kp)、ミドルパワートレーニング(6.5kp)を行ってました。

6カ月間2日に一回の割合で行い。 アキレスの傷が癒え走り始めたことには、負荷に耐えれる走りが身に付いていました。

2月の沖縄でも10秒3ぐらいで走ってました。

47歳スプリンター Tiger blog より引用 

故障で走れない時期の代替や冬期のトレーニングとしての位置付けであれば高頻度でも大丈夫、ということでしょうか。

トレーニング負荷の目安

ちなみにヴィクトジャパンのwebサイトには、導入期についての記述もあります。

導入当初、男子は1~2週間、女子は4~6週間は神経系トレーニングをしっかり行ってください。 パワーマックストレーニング(特にミドルトレーニング)は、十分休憩時間を取って行ってください。

パワーマックスのトレーニングですが、無酸素パワートレーニングで得られたトレーニング値が重いと感じられた時は下記の負荷で行ってください。

男子選手

■ハイパワートレーニングの負荷は体重の12~13%値KP

■ミドルパワートレーニングの負荷は体重の8%値KP

女子選手

■ハイパワートレーニングの負荷は体重の10%値KP

■ミドルパワートレーニングの負荷は体重の6%値KP

ここでいう「神経系トレーニング」とは、どうやら1kpの負荷ことを指すようです。

ヴィクトジャパンのサイトでは1kpの目標値は270rpmと書かれています。ちょっと高すぎでは…?

f:id:Wetland:20190410011051p:plain

 ヴィクトジャパンwebサイト より引用

1kp以下くらいになると体重はあまり関係ないとはいえ、この260rpmが出せるかというのは別の話。

公営のトレーニングセンターにあるパワーマックスは大概ガタがきており回転数が出にくいです。

私のよく行く所もハンドルの高さが調節できないようになってしまっており、全力で漕ぐと本体がミシミシいいます。現状、1kpも250rpmくらいが精一杯です。

あくまでベストな環境での目安ということでしょう。

注意すべきこと

ここまで書いておいてナンですが、パワーマックスの数値と疾走速度の相関関係はハッキリしていません。

そもそもハムストリングなど故障した選手でも漕げるということは、パワーマックスで使う部分と走る時に使う部分は似て非なるものの可能性が高いです。

パワーマックスは確かに有用なトレーニングですが「漕ぎ慣れ」で数値を出すことに腐心しては本末転倒です。

まとめ

・パワーマックスは高頻度でやっても大丈夫(?)

・スプリンターは1kpで高回転を出せるようにしておくべき

・体重の7.5%で200回転はひとつの目標

・ハイパワートレーニングの設定値は意外と重い

どのようなトレーニングにも言えることですが、パワーマックスも人によって合う・合わないはあります。

持ちタイムは速くてもビックリするくらい数値の低い選手もいます。

それでも、特にこういった数値の取れるものは定期的に見ておくべきでしょう。調子が落ち込んだ時、「ここの数字が落ちている」というのがわかりやすくなります。復調のきっかけを掴みやすくなるのではないでしょうか。

皆さんもパワーマックスと良いお付き合いを。

 

今回はここまで。