本記事は2018/8/25に投稿されたものをリライトしています。
皆さんは総合体育館やジムのトレーニングルームの隅で、何か異様なオーラを放つ自転車型の器具を目にしたことはありませんか?
あれは有能な強化ツールにして悪魔のマシン「パワーマックス」といいます。
今回はパワーマックス、通称パワマについて好き勝手書いてみました。
パワーマックスとは…
検索で来られた方には説明不要ですが「例のアレ」です。
エアロバイクとは一線を画す、黄色や白黒のアレです。公営ジムですと説明書も付いていないことが多いので、なかなか敷居が高いのでしょうか。
エアロバイクは満員なのに、何故か誰も触りもしないアレです。
▲アレのアレ
自転車型という特性上、走るのと違い接地の衝撃を受けずトレーニングすることができます。
アキレス腱や足首周りに不具合の出ている選手やハムストリングの故障から復帰中の選手など、怪我人もよくお世話になります。
プログラムのご紹介
パワーマックスには7種類のプログラムが用意されています。
上3つが測定で、下4つがトレーニング・プログラムとなっています。
基本は無酸素パワーテストで算出された数値をもとに、各種トレーニングの負荷設定を行います。
「見ているだけで心拍数が上がる」ことで有名な、清水 選手のトレーニングのような負荷も再現できます。
▲「特殊な訓練を受けています」というテロップを入れるべき
陸上競技の短距離選手の場合、ハイパワー・ミドルパワー・オリジナルトレーニングのお世話になることが多いでしょうか。
使用感について
使用感については「一度使ってみて下さい」としか言えませんが、ネットで実に的確なレビューがありましたので引用させていただきます。
知るひとぞ知る恐怖のマシンだ。
(中略)
ハイパワートレーニングは無酸素パワーテストで求めた負荷を用い、全力7秒休憩40秒を5回反復の、ようはクレアチンリン酸回路を用いた運動系を使い切るHIITとなる。
きつい。本当にきつい。3回まではなんとかなるのに、4回目からさっきまでの自分の体と同じものとは思えない足がそこにある。ペダルが回らない。でもこれはまだマシな方だ。なんせ7秒もがけば休憩できるのだ。
このマシンの本当のきつさはやはりミドルパワートレーニングだろう。これも無酸素パワーテストやウィンゲートテストで得た値を元に、30秒全力2分レストの3セット、ようは解糖系の回路を使い切るHIITだ。
1セット目。30秒もがく。30秒が長い。本当に長い。頭が働かなくなり、液晶を追うのが面倒になり、一刻も早くこのときが終わるのを願い始める。しかし全く終わらない。
どれだけ力を入れても力が入らなくなるころやっと「ピー」と終わりを告げる音が聞こえる。
さぁ「今日はもう頑張った!ここでやめよう!」と何度思うだろう。
レストの120秒がそんなことを考えているうちにのこり10秒となる。息が収まりきらないうちに足の回転が止まり、5秒のカウントダウンが始まる。
2セット目。もう足が回るのは最初の10秒だ。残り20秒からは顔も上げられない。残時間を見つめるのが嫌になり、顔を伏せたまま必死で頭の中でカウントしながらもがく。
残り・・・10秒・・・。と思い顔を上げて時間を確認すると必ず13秒残っている。頭がクロックアップしているんじゃないかとすら思う。
10秒を切る頃には足に力が入らなくなり、口から入れる息が不足して喉が悲鳴をあげる。カウントダウンする気力も失われ、足を回すことにだけ全力を注ぐ。
5・・・4・・・・3・・・ 残り2秒で何故か必ず足が動かなくなる。 「ピー」 ・・・。 まだ1セット残ってるのかよ・・・。
この機械は素晴らしいマゾ育成装置だと思う。
…えーと、経験者ならお分かりかと思うのですが実に的確な描写です。見ていて心拍数が上がりました。
どこが優れているのか
パワーマックスの機能は「回転数がわかる」「ペダルの負荷を設定できる」「時間を計ってくれる」がほぼ全てです。
しかし、シンプルながら「絶妙な負荷設定」「徹底的な定量化」は非常に優れた点であると感じます。
まず負荷ですが、初心者から上級者までキッチリ設定をこなそうとすると必ず死ねるようにできています。セット間の間隔も絶妙で「かえってインターバルがある方がきつい」との声があるほど。
各セットの回転数もキッチリ記録されますので、どこで手を抜いたかがわかります。
まとめ
よく「科学的トレーニング」なんていうと「スマートで楽」というイメージがありますが、とんでもない勘違いです。
信じがたい話ですが、パワーマックスの非人道的な負荷やインターバルは科学的根拠をもって作られています。
突き詰められた「科学的トレーニング」とは、上限値を余すことなく引き出さねばなりません。
私の出身大学のバイオメカニクスの先生も「科学的トレーニングは数字を誤魔化せないから究極に根性が要る。根性練はやりきればいいだけだから楽」 と言っておられました。
集中の仕方ひとつで回転数も大きく変わってきますので、コントロール・テストや集中力を高めるトレーニングとしても有用です。
強化期間やリハビリのお供に、ぜひ取り入れてみてください。
今回はここまで。