向かい風参考記録

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脚が痛くてトレーニングできない時のお供、パワーマックスについて短距離選手が目標にする数値など好き勝手書く

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【2018/12/2 リライト】

どうも、森です。

最近、冬期練習シーズンになった影響でしょうか。本記事にアクセスをいただいているようですのでリライトしました。

冬期練習、頑張っていきましょう。

悪魔のマシン

皆さんは「悪魔のマシン」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。私は断然、MOTHER2のアレとパワーマックスを思い浮かべます。

パワーマックスとは

「パワーマックス」で検索流入された方には説明不要でしょう。ジムやトレーニングルームの隅にあるアレです。エアロバイクとは一線を画す禍々しいオーラのアレです。

接地の衝撃を受けずトレーニングできるので、アキレス腱や足首周りに不具合の出ている選手やハムストリングの故障から復帰中の選手など、怪我人もよくお世話になります。

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▲例のアレ。黄色いタイプなどもある 

これについて、ネットで実に的確なレビューがありましたので引用させていただきます。

知るひとぞ知る恐怖のマシンだ。

見ての通り自転車をセッティングするローラー台ではない。既に自転車の形をしたインドアトレーナーだ。

(中略)

毎回これに座ろうとするたびに登校拒否児然とした気持ちになる。何かと理由をつけて座るのをためらってしまう。座ると次にメニューを選ぶ事になる。

・無酸素パワーテスト

・ウィンゲートテスト

・インターミッテンテスト

無酸素パワーテストは体重に併せた三つの段階の負荷を順順に10秒間「全力で」漕ぎ、自身の持つピークパワーを知るためのものだ。

ウィンゲートテストはこれも体重に併せた負荷を30秒間全力で漕ぎミドルパワーを知るもの。インターミッテンテストは実は私は未経験なので知らない。

そして「次」を選択すると今度はトレーニングメニュー一覧となる。

・ハイパワートレーニング

・ミドルパワートレーニング

・マニュアルトレーニング

・オリジナルトレーニング

(中略)

さて、問題はここからだ。ハイパワートレーニングは無酸素パワーテストで求めた負荷を用い、全力7秒休憩40秒を5回反復の、ようはクレアチンリン酸回路を用いた運動系を使い切るHIITとなる。

きつい。本当にきつい。3回まではなんとかなるのに、4回目からさっきまでの自分の体と同じものとは思えない足がそこにある。ペダルが回らない。でもこれはまだマシな方だ。なんせ7秒もがけば休憩できるのだ。

このマシンの本当のきつさはやはりミドルパワートレーニングだろう。これも無酸素パワーテストやウィンゲートテストで得た値を元に、30秒全力2分レストの3セット、ようは解糖系の回路を使い切るHIITだ。

1セット目。30秒もがく。30秒が長い。本当に長い。頭が働かなくなり、液晶を追うのが面倒になり、一刻も早くこのときが終わるのを願い始める。しかし全く終わらない。

どれだけ力を入れても力が入らなくなるころやっと「ピー」と終わりを告げる音が聞こえる。

さぁ「今日はもう頑張った!ここでやめよう!」と何度思うだろう。

レストの120秒がそんなことを考えているうちにのこり10秒となる。息が収まりきらないうちに足の回転が止まり、5秒のカウントダウンが始まる。

2セット目。もう足が回るのは最初の10秒だ。残り20秒からは顔も上げられない。残時間を見つめるのが嫌になり、顔を伏せたまま必死で頭の中でカウントしながらもがく。

残り・・・10秒・・・。と思い顔を上げて時間を確認すると必ず13秒残っている。頭がクロックアップしているんじゃないかとすら思う。

10秒を切る頃には足に力が入らなくなり、口から入れる息が不足して喉が悲鳴をあげる。カウントダウンする気力も失われ、足を回すことにだけ全力を注ぐ。

5・・・4・・・・3・・・ 残り2秒で何故か必ず足が動かなくなる。 「ピー」 ・・・。 まだ1セット残ってるのかよ・・・。

この機械は素晴らしいマゾ育成装置だと思う。

CBN bike product review より引用

 …えーと、経験者ならお分かりかと思うのですが実に的確な描写です。見ていて心拍数が上がりました。

どこが優れているのか

見た限りはシンプル極まりないパワーマックス。トレーニング機器として優れた点はといいますと「負荷が絶妙」「徹底的に定量化されている」でしょう。

まず負荷ですが、初心者から上級者までキッチリ設定をこなそうとすると必ず死ねるようにできています。セット間の間隔も絶妙で「かえってインターバルがある方がきつい」との声があるほど。

各セットの回転数もキッチリ記録されますので、どこで手を抜いたかがわかります。

究極の科学的トレーニング

パワーマックスの負荷やインターバルは、一応科学的根拠をもって作られているようです。よく「科学的トレーニング」なんていうと「スマートできつくない」というイメージがありますが、とんでもない勘違いです。

突き詰められた「科学的トレーニング」とは 

「マックスの数値がこのくらいだと、計算上3分レストでこのくらいの数値は出る。」

「このレスト時間で計算上は瞬発動作に必要なエネルギーは回復しているはず。」

と、上限値100%中の100%を余すことなく引き出さねばならないトレーニングです。 私の出身大学のバイオメカニクスの先生も

「科学的トレーニングは数字を誤魔化せないから究極に根性が要る。根性練はやりきればいいだけだから楽。」 と言っておられました。

パワーマックスです「見ているだけで心拍数が上がる」ことで有名な、清水選手のトレーニングのような負荷も再現できます。

▲「特殊な訓練を受けています」というテロップを入れるべき

スプリンターが知るべき指標

パワーマックスにはいくつかのモードがありますが、短距離選手はまず「無酸素パワー測定」を行うべきでしょう。

無酸素運動時の脚力を測定してくれるもので、各種トレーニングモードの指標にしたり、数値の変遷を見るコントロールテスト的な役割があります。短距離・跳躍・投擲選手などは冬期に取り入れていますね。

スプリンターが目指すべき数値

では、例えば100m10秒台相当を目指すにあたり、目標とすべき数値はどのくらいでしょう。

PB10秒3、マスターズでも活躍されています赤堀 氏のブログから引用させていだだきます。

集中の仕方次第で数値が激変するので 集中の仕方の確認の意味もある。

4kp 205 7kp 168 10kp135と300m35秒前半で10秒台って感じ。

一緒にトレーニングしてる選手では、4kp225回すのがいたり、10kp159まわす選手がいる。

46歳スプリンター Tiger blog より引用

さらに、走幅跳PB7m61で現在は指導者としても活躍されてます金子 氏のブログから引用させていただきます。 

私のおすすめは体重の7.5%(体重×0.075で数値をだせます)の負荷で7~10秒こぎ続けるトレーニング.

回転数200が最低ラインの目標と選手達には伝えています.回転数が200あたりいけば,関東ICのB標準記録ぐらいは突破できる選手になれる(はず).

今まで選手を見てきた経験からですが・・・ある程度の記録を持っている選手は回転数200の前後あたりではこぐことができています.

陸上競技クラブ オホーツクAC/キッズ代表 金子航太のブログ より引用

お二方ともかなりの実績を持たれた競技者で、かつ指導者としても活動されています。私の記録の変遷からみた実感としても、概ねこの通りかと思います。

私は2018年のシーズン中の数値が4kp-209 7kp-168 10kp-119 でした。上記の赤堀 氏のブログの数値と比較すると10kpがやや劣っていますが、概ねこの基準上です。

ちなみに、冬期にある程度回せていた時はこんな感じでした。

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もちろん、パワーマックスは体重が重い方が10kpなどはよく回ります。一概に比較はできません。

特に10kpの135回転などは体重の軽い選手や高校生あたりにはかなりキツい数字かと思います。個人的には4kp200回転がひとつの到達点かと思います。体重の7.5%が「軽い」と感じられ7秒200m回転をオーバーしてくると、10秒台に近い気がします。

注意すべきこと

注意すべきこととしては「パワーマックスの数値を盲信しないこと」です。

そもそも、パワーマックスの数値と疾走速度の相関関係はハッキリしていません。

ハムストリングなど故障した選手でも漕げるということは、パワーマックスで使う部分と走る時に使う部分は似て非なるものの可能性が高いです。

パワーマックスは確かに有用なトレーニングですが「漕ぎ慣れ」で数値を出すことに腐心しては本末転倒です。

まとめ

どのようなトレーニングにも言えることですが、パワーマックスも人によって合う・合わないはあります。

スプリンターでいえば、前後の動きが得意で脚の軌道がスイング型の選手はタイムに比べてパワーマックスの数値は低いかもしれません。

それでも、特にこういった数値の取れるものは定期的に見ておくべきでしょう。

調子が落ち込んだ時、「ここの数字が落ちている」というのがわかりやすくなります。復調のきっかけを掴みやすくなるのではないでしょうか。

皆さんもパワーマックスと良いお付き合いを。

 

今回はここまで。