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ナイキの「例のスパイク」ズーム スーパーフライ エリートをレビューしてみる

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caution!

本記事は2019/2/5に投稿されたものをリライトしています。

ここ数年、ナイキのシューズやスパイクをよく見かけるようになりました。

トップ選手がこぞって履いているのを見ると、ナイキの財力とマーケティングの鮮やかさにただ感服するばかりです。

今回は短距離スパイクのフラッグシップモデル「ズームスーパーフライエリート」をレビューしたいと思います。

概要

ナイキのプレスリリースっぽいものがありましたので引用します。ストーリー感といい、ナイキはこういうブランディングが本当に上手いです。

(前略)最初に目を向けたのは短距離の科学的な面についてです。

100m の世界 チャンピオンの座を3度勝ち取り、金メダルを2つ保持するシェリー=アン・ フレーザー=プライスのような短距離選手をより速くするには、硬いシューズを作ることが求められます。

それは野球バットが長くなればボールを強く打てるようになるのと同じ、力の伝達の仕組みです。スパイクプレートを固くするのは、スピードの重要な要素となる足の推進力を地面によりよく伝えられるようにするためです。

しかし、硬さだけでなく、シューズには軽さも求められます。先端のコンピューター設計機器や、時間の節約につながる3Dプリントの試作品制作によって、必要な要素を理想的なバランスで取り込んだナイキ スーパーフライ エリート スパイクが生まれました。

このスパイクはフレーザー・プライスが 0.013 秒速く走る力になりますが、この違いは 1 位と 4 位の差にもなり得るのです。

 FLY BASKETBALL CULTURE MAGAZINE より引用

1位〜4位までが0.013秒差なんて僅差のレースがあるのか?

そんな冷静な疑問をかき消すくらいのハイテク感推しです。

カタログスペック

カタログスペックを見ていきましょう。

軽量性と通気性と通気性を確保したエリートレベルのスプリンター用スパイク。100m-400mまで適用。

■アッパー:合成繊維+合成樹脂

■アウトソール:合成底(合成樹脂)

■スパイクピン:取り替え式(ニードルピン)

■種目:短距離用(100m・200m・400m&ハードル用)

■仕様:オールウェザートラック専用 ※土トラックには使用できません。

STEP 通販サイトより引用

重さについてですが、26.5cmで約136gという情報がありました。ということは、ミズノのクロノインクスとほぼ同じ水準と見て良いでしょう。

ソールについて、一部ではカーボンとの情報もありましたが、市販品は合成樹脂のようです。

外観

鮮やかなアッパーの色使い、ハイテク感満載のソールが目を惹きます。

f:id:Wetland:20190205220623j:plain▲アッパーも他社製にはない特殊な素材感 

f:id:Wetland:20190205220701j:plain▲ゾクゾクするようなソール

他のスパイクとの比較

かなり独特な感じですので、外観面で比較する意味は薄いでしょう。プレートやピン配列を見ていきます。

プレート・ピン配列

プレート傾斜については、いわゆる「短距離的」な感じです。

前足部での接地を前提としている感じにも見えますが、比較的フラットな接地の選手も使用していたりします。

f:id:Wetland:20190205221244j:plain▲さすがにアディゼロプライムspより底の厚みはありそう

ピンは8本。6、7本が主流の他社製のフラッグシップモデルと比較すると1本多いです。

f:id:Wetland:20190205221228j:plain▲左からアディゼロプライムsp、クロノオニキス、スーパーフライエリート、クロノブレイク

特徴・使用感など

軽量&高反発のバランスを良い塩梅で突き詰めた感があります。

反発の返り方も個人的に良い感じに思えました。

サイズ感については普段通りのサイズで問題ありませんでした。サイズ感については個人差があろうと思いますが、幅広足の人はきつく感じるかもしれません。

アッパー自体あまりハードではありませんので、多少は対応できるレンジがあります。

良い点・悪い点

軽量×高反発

カタログスペック通りの軽量&高反発路線です。

アディゼロプライムspのようなカチカチ感はありませんが、屈曲から「ビヨーン!」と戻るようなしなり方は魅力です。

f:id:Wetland:20190205222716g:plain

▲一応、手で曲がる

意外なほどのフィッティングの良さ

インプレですが、フィッティングが良かったのは意外でした。

海外製のスパイクはどうしてもハードな履き心地のイメージでしたが、良い意味で裏切られた感じです。

f:id:Wetland:20190205222227j:plain▲インソールがかかと部分まで延長?している

ギチギチ、ビタビタな締め付け系フィットというよりは吸い付く系のフィッティングです。ちょっと不思議な感じ。

耐久性には期待できない?

短距離用のフラッグシップモデル全般にいえることですが、耐久性は期待しない方が良いでしょう。使い込むと、つま先とプレートの接合部がちょっと浮いてきます。

練習兼用であれば、1シーズンと割り切って使うのも手です。

最低限つま先など擦れやすいところは部分的に補強されているっぽい感じはありますので、通常の使い方の範囲ならばいきなり壊れたりはしないと思います。

ニードルピンは使用禁止の競技場がある

これは本当に気をつけたいのですが「ニードル状のピンは禁止」の競技場がけっこうあります。

ナイキを履く選手が増えた影響で、改めてニードルピン禁止を明記した競技場もあるとか。特に遠征でいつもと違う競技場の試合に出る際は注意しましょう。

f:id:Wetland:20190205223435j:plain▲ピンは取り替え可能

旧モデルは固定ピンだったそうですが、現行モデルはピンの取り替え可能。

万一に備える意味でも、替えピンは用意しておいた方が良いかもしれません。

総評

ミズノ、アシックスのオーダーが「工芸品」なら、こちらのスパイクは優れた「工業製品」という印象。ナイキの「シェアを根こそぎ取りに行くぞ」という意気込みが感じられる一品です。

デザイン的な面でいえば他社より一歩抜け出していると思います。毎年カラーが変わっていますが、いちいちセンスが良いです。

定価ですと27,000円オーバーですが、セール時期では15,000円前後で入手できるのも魅力です。

「軽量で高反発のスパイクが欲しいけれど、何にしようか迷っている」選手は候補の1つに入れて損はないと思います。

 

今回はここまで。