本記事は2019/4/22に投稿されたものをリライトしています。
この春に高校・大学・専門学校を卒業された皆さん。明日からは新年度ですね。
例年この時期は「就職(進学)後も陸上競技を続けようかな」と思っていたものの、思った以上に新生活が慌ただしくて1回も体を動かさずフェイドアウトする選手が発生する時期でもあります。
今回は私見を交えつつ、社会人で短距離を続ける方法について好き勝手書いていきます。
思った以上に社会人はスポーツをしない
皆さんは、スポーツに取り組んでいる社会人がどのくらいいるのかご存じでしょうか。
スポーツ庁の「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によりますと、およそ全体の半数が何らかの運動やスポーツに取り組んでいることが分かります。
この 1 年間に行った運動・スポーツの日数を聞いたところ、「週に 1 日以上(年 51 日~)」とする割合は 55.3%(「週に5 日以上」12.8%+「週に3日以上」15.1%+「週に2 日以上」13.3%+「週 に 1 日以上」14.1%)となっている。
全体の半数というと多いように思えますが、これは「健康」のためスポーツを行っている層が7割以上を占めています。では「競技」としてスポーツを行っている割合はといいますと、全体の1割程度であることが分かります。
単純計算で100人いたとすると、そのうち50人程度が運動やスポーツを実施しており、そのうち競技スポーツに取り組んでいるのは僅か5人程度ということになります。
全体の5%というのはかなり少数であり、人種や性的嗜好のマイノリティ層よりもずっと少ない割合であるといえます。
社会人スプリンターの続け方
競技志向でスポーツをしている人は100人中5人程度。残念ですが、その5人が陸上短距離を選択する確率は極めて低いと思われます。それほど社会人のスプリンターは社会的に孤独な存在です。
では、いかにしてモチベーションを保ち競技を継続していくのか。私見を交えていろいろ書きます。
「何となく」の外堀を埋める
学生から社会人になったとき、何が理由でスポーツを辞めてしまうのでしょうか。実際、ほとんど決定的な理由はないと思っています。
「何となく忙しい」「何となく面倒」…スポーツから遠ざかる理由は「何となく」という人がほとんどではないでしょうか。実態調査の結果も概ねそのような感じになっています。
したがってスポーツを継続するには「何となく」フェードアウトしてしまう理由を潰していくことが肝要です。
特に「陸協登録」「大会エントリー」は個人だと意外に面倒な作業です。新生活が始まって早い段階で済ませておくことをお勧めします。
遅くとも5月の連休までには陸協登録を済ませ、大会にエントリーするか目星を付けておくべきでしょう。「仕事が落ち着いてから」「体力が戻ってから」などと悠長に構えているとシーズンが終わっています。とにかく酷い記録を叩き出しても良いので、一回大会に出てケツに火をつけておいた方が良いです。
チームに所属する/SNSで似た人と繋がってみる
必ずしもチームに所属する必要はありませんが、やはり所属している方が何かとモチベーションを保ちやすいです。ひと昔前と比べて社会人主体のチームもかなり増えましたし、加入のハードルも低くなっています。
また、Twitterや各種SNSで同じように社会人で競技をしている方と繋がってみるものお勧めです。全く面識のない人をフォローするのは最初ドキドキしますが、トレーニング方法や道具・サプリメント等の情報が入ってくるようになります。
中には社会人になってから自己ベストを更新し100m10秒台に突入した方もいます。励みになりますね。
1日30分でも良いから継続してみる
いくら外堀を埋めても、日々の生活が忙しすぎてしっかりトレーニングする時間が取れない。そんな時期もあると思います。
私も月80時間以上残業する部署にいたことがありますが、ひどい時は平日の夜1時からトレーニングをしていたこともありました(一度ぶっ倒れて救急搬送されたのでこういう方法はお勧めしませんが…)。
個人的には1日30分でも「スプリント」の動きに神経を通してやることが大事だと思っています。短距離で使う神経や筋肉の領域というのは日常生活で殆ど使いませんので、この部分はブランクが空かないようにした方が良いです。
トレーニング方法・場所を開拓する
社会人トレーニーの良いところは、環境さえ開拓できれば全て自分の裁量で思うようなトレーニングを組むことができる点です。
学校の部活動では大会前でもトレーニング頻度を落とすことが許されなかったりしますが、頻度や量も思うように試行錯誤することができます。良さげな坂や芝、公園などトレーニング場所の開拓もまた楽しいものです。
道具・サプリメントを大いに活用する
「トレーニングやケア関係の道具が増える」というのは社会人スプリンターあるあるです。消耗品でもなければ早めに揃えておいた方が費用対効果も高いでしょうし、道具を揃えることでモチベーション維持の効果もあると思います。
まとめ
今回はここまで思うがまま書いてみましたが、短距離に限らず社会人の競技スポーツはまだまだ世間一般の理解を得られているとは言い難いです。
しかし「試行錯誤しながら能力の向上を目指す」楽しさや喜びに世間一般の理解は関係ありません。自分の望んでいること、心のあり方が全てです。
今までフェードアウトしていた方々も「思い立ったが吉日」の精神で、ジャージを引っ張り出して30分でも走ってみませんか。
今回はここまで。