足は人間工学上の傑作であり、最高の芸術作品である
レオナルド・ダ・ヴィンチ
ヒトの足は片方だけでも19の筋肉、26の骨、33の関節、100以上の靭帯からなります。本来、足というのは繊細かつ緻密で高い機能性を持っているといえます。
今回はそのような足本来の機能を呼び覚ましてくれるかもしれないランニングサンダル「ワラーチ」をご紹介したいと思います。
概要
「ワラーチ」は一見すると簡素な造りのサンダルです。元はメキシコ北西部に住まう先住民タラフマラ族(ララムリ)の履物がこう呼ばれていました。
ララムリのそれは廃タイヤを割いて加工しただけのものですが、それでウルトラトレイルをはじめとする数百キロの超長距離を走り切ります。
用途は特に決まっておらずウォーキングやランニング、慣れてくるとこれで山に登る人もいるようです。近年は各メーカーから様々なワラーチが開発されています。
カタログスペック
今回はシューズショップタケダさんの"Run Sun"を購入しました。
当店の"ワラーチサンダル"は、身体の機能・体幹をしっかり使うという観点を重視して素材選びにこだわり、独自形状を作りあげました。歩く・走る動作がスムーズに行え、体重移動時に脚・腰の力を足裏で感じ取れるようになり、自然にトレーニングを行うことができます。
・自分の脚でしっかり立てるようになる
・片足立ちができるようになる・足の回転が速くなる
・体重移動の動作を身体が覚える…など
となっています。アッパーもヒールカウンターも存在しないだけあって、重さは超軽量級の80〜90gほど。薄底・軽量シューズが130g程度であることを考えると、確かに破格の軽さです。
外観
▲「日本製」の印字が映える
紐はやや伸縮性のある素材で、長さの調節ができる留め具が付いています。本来ワラーチはもっと簡素で悪くいえば不親切なのですが、独自形状というだけあって走りやすくする工夫が随所にみられます。
▲カラーバリエーションも豊富で目にも良い
工夫は裏面にも見られます。ワラーチは本来一枚のゴムから成りますが、こちらは前足分と踵にクッション兼グリップが加えられています。
▲これでも簡素な造りではある
特徴・使用感など
普段のランニングシューズやスパイクとは明らかに違う感触でした。使っている神経が違う感じといいますか、足から入ってくる情報量が違います。
ランニングシューズほど過保護な感じではなく、不親切にならないレベルの保護感とフィット感。小石くらいなら踏んでも大丈夫そうなので、ある程度の不整地にも対応してくれそうです。
アスファルト、芝生、砂、河川敷、小川を走りましたが、途中で脱げることもありませんでした。ランニングシューズではまず小川に入っていくことはないでしょうが、どんな所でも躊躇いなく行けてしまうのはワラーチの良さでしょう。
ランニングシューズほどのスプリントは出ませんが、タイミングよく踏み込めばダッシュもできそうでした。
良い点・悪い点
独自改良で快適
ワラーチといえば自作をされる方も多いですが、どうしても紐を裏面から通す必要があります。
一枚モノは紐による足裏の突き上げ感が出たりするそうですが、こちらは裏面の補強で多少の厚みが出ており違和感なく使用することができます。
今までランニングシューズしか履いていなかった方でも、あまり違和感なく使い始められるのは良い点かなと思います。
補強剤が付いている
サンダルが横ずれする場合に備え、補強剤が付いています。こうした心配りは嬉しい限りです。
良くも悪くも親切設計
本来、ワラーチというのは足裏保護以外の機能を削いだ最低限の機能の履物です。それにより足裏本来のクッション性を働かせるべくフォアフット(つま先)接地、全身を柔らかく使わざるを得ない状態に持っていく効果があります。
今回ご紹介した"Run Sun"は裏面に補強が入っていますので、ヒールストライク(かかと接地)で走ろうと思えば出来てしまいます。
ワラーチ導入の一足目としては入りやすいですが、ベアフット(裸足)と同じような感覚を期待するとソールの厚みを感じてしまうかもしれません。
総評
ベアフット(裸足)ランニングが神経を活性化させるという説には概ね同意ですが、不整地では怪我による破傷風のリスクもあります。
そういったリスクを低減するツールとして、ワラーチは有用だと感じました。今回ご紹介した"Run Sun"はランニングシューズより安価ですが、ビブラムシートと真田紐でより安く自作する方法もあります。私もそのうち自作にも挑戦したいと思います。
今回はここまで。
今回ご紹介させていただいたのはコチラです。
ふるさと納税の返礼品にもなっているようです。