事務職をしていれば一度や二度は仕事術やタイムマネジメントについて調べたり、研修を受ける機会があると思います。仕事術には様々なメソッドがありますが、中でも「アイゼンハワーマトリクス」はシンプルなためか登場頻度が高い気がします。
しかしこのメソッド、本当に新人職員向けの研修で紹介する意味があるのでしょうか。今回は思考整理兼ねて疑問点などを洗い出ししてみようと思います。
「アイゼンハワーマトリクス」とは
大事なことは緊急であることはほとんどなく、緊急なことが大事であることもほとんどない
Dwight David "Ike" Eisenhower
「アイゼンハワーマトリクス」はアメリカ34代大統領のドワイト・D・アイゼンハワー氏の仕事術をもとに『7つの習慣』著者であるスティーブン・R・コヴィー博士によって体系化された時間管理のマトリクスです。
全ての活動を「重要度」「緊急度」の軸に分けて考えるもので、行動の計画を立てる際には有効なツールであるとされています。
タスクを4領域に分類
「重要度」「緊急度」の2軸を設定すると、このように4つの領域が出来上がります。
このように可視化することで「重要+緊急」の案件が意外と少ないことに気が付くと思います。多くの人は「1」と「3」を混同しがちであり「3」は達成感や多忙感こそあるものの、成果に結びつきにくいとされています。
▲事故や災害が毎日起こるというなら別だが…
これら4領域には次のような但し書きが付くことがあります。
将来的な成果に結びつくのは「2」ですから「1」や「3」を効率よく捌いて「2」に取り組んでいきましょう、といった論調で紹介されることが多々あります。
考えうる問題点
但し書きを見て気がつくと思いますが、新人やヒラ職員はそもそも「誰かに任せる」選択をとることが難しいです。
大統領の仕事術ならば「誰かに任せる」選択肢があるのも納得ですが、外線電話や来客対応、報告書、議事録の作成はヒラ職員の仕事そのもの。属人化しない工夫は必要ですが、これらを「誰かに任せる」ことでボリュームを減らすのは難しいといえます。
とはいえ新人職員は「重要度や緊急度によって仕事を分類する」ことに不慣れです。このマトリクス作成を通して分類することの重要性に気がついたり、作業に慣れていくことができるなら研修などで紹介する意味も無くはない…といえるでしょう。
まとめ
- アイゼンハワーマトリクスは「誰かに任せる」選択が取れる人向け
- 仕事を分類する能力を向上させる効果を見越せばそうでない人にも有用
特に領域2を埋めようとすると、どうしても自己啓発系の項目が多くなってきます。公私一体的な働き方をする人、企業や自治体の要職や公人には相性が良いメソッドといえるでしょう。まぁ便利なメソッドは世の中には溢れているので、これに拘る必要は無いかな…と思っています。
今回はここまで。