本記事は旧モデルのレビューです。
現行モデルとは若干仕様が異なりますのでご了承下さい。
2017年、彗星のごとく現れ長距離界を席巻した「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」。
同じ年に廉価版としての位置付けで発売されたのが「ズーム フライ」です。
今回は時代に逆行して初代モデルを入手したので、好き勝手書いてみたいと思います。
概要
高反発の構造を採用し、踏み出した足にかかる圧力を次の一歩へのエネルギーに変換。テンポラン、長距離ラン、レース当日に最適なデザインです。
足を前に押し出すようなパワフルな感覚。ミッドソールに内蔵されたフルレングスのカーボン混ナイロンプレートが、ステップごとに足を前に押し出す感覚を実現。目標達成を後押しします。
NIKE 公式オンラインショップ より引用
位置付け的には最上位モデル「ヴェイパーフライ」の廉価版ながらも、ちゃっかりカーボン混のナイロンプレートが内蔵されています。
耐久性はこちらの方が高く、プレートは500km程度耐えるとの情報もあります。
カタログスペック
反発力に優れた滑らかな履き心地。柔らかいフォームと硬いフォームを組み合わせたLunarlonクッショニングが、快適性を損なうことなくバランスの取れた衝撃吸収性、安定性、反発性を発揮します。
ほぼ縫い目のない一体型のFlymeshアッパーが足の甲の部分の通気性を強化。ランがヒートアップしても涼しい履き心地をキープします。シューレースを締めるたびに超軽量のFlywireケーブルが足を包み込むデザインで、動きに合わせてぴったりフィットします。 かかと部分の強化ラバーで耐久性が持続。
重量:約248g (メンズサイズ28cm)
重さについては280g前後の 「ペガサス」シリーズより若干軽いと思われます。薄底の軽量シューズはこれより100gくらい軽いです。
クッション+反発か軽量+レスポンスを選ぶかの分かれ目がこの「100g」の差といえます。
アッパーは「ペガサス」と同じ合成繊維+合成樹脂。ナイキ製のシューズやスパイク特有の、他メーカーには無い感触です。
▲プレートが入っているのでソールはゴムではなく「合成底」
外観
外観的にはビビットカラー多めの後継モデルよりも「普通のシューズ感」があります。
「ペガサス」のレビューでも「靴の消耗を考えると良くない」と書きましたが、普段履きとの兼用もいけそうな感じです。
▲外観のバランスが良い
こういうパッと見で惹かれるようなデザイン造りに関して、ナイキは他メーカーから完全に一歩抜け出している印象です。
アディダスのスタンスミスみたいな保守的なデザインも個人的には好きですが、今の世の中の時流的にはこういうのがウケるのでしょう。
ソールはほとんど凹凸がないため、たぶん濡れた地面や接地してから擦る走り方だと滑ります。
▲ランシューらしからぬグリップの無さ
ペガサス34との比較
オールマイティなトレーニングモデルの「ペガサス34」と比較すると、アッパーからソールまで全くの別物です。
まずアッパーですが、ズームフライはかなり薄く作られていることがわかります。シュータンのあたりを見れば分かりやすいですが、ペガサスと比較してペラッペラです。
プレート+厚底で重くなっている分の重量調整でしょうか。
▲かなりの薄手
ソールに関しては、ズームフライの方がより「転がす」感じに見えます。というか、ペガサスも後継モデルはこれに近いソールの角度になっていきます。
グリップは一目瞭然。ペガサスはちょっとした不整地くらいなら対応できそうです。
ズームフライは陸上トラックかアスファルト、コンクリで真価を発揮するタイプっぽいですね。
▲左がズームフライ、右がペガサス
特徴・使用感など
アッパーは「締め付ける」ではなく「包み込む」ようなコンセプト。ビタビタ感はないもののフィッティングは好みです。
あとは、とにかくソールに入ったプレートの威力が凄いです。手で中々曲がらないくらい硬い。
前足部に重心を転がすような作りなので、後ろから押されるような感覚すらあります。逆らわず、プレートに体重を乗っけてやると面白いくらいに弾みます。
おろしたてのシューズは反発があるものですが、そういうレベルじゃないです。明らかにプレートが弾ませてくれます。
こういうギミックを入れているから本体が重いんでしょうけれど、コレはもはや助力では…?
※陸上競技のルール上、靴は「履いても良い」ものであって明らかな助力となるものは認められない
良い点・悪い点
ハマれば走らせてくれる
正直、人を選ぶ靴ではあると思いますが、ハマればシューズの重さは気になりません。
前に前に重心を転がす作りになっているので、大げさに言えば靴を履いて走っているというより「乗っている」感じです。
スプリンターのトレーニング用品としては賛否アリ
反発のあるシューズですが重さもあり、スプリンターのトレーニングのお供としてのポテンシャルは未知数です。
グリップの凹凸部が少ないソールなので、引っ掻くような接地だと滑ります。副次的に接地の確認・矯正はできそうな感じです。
耐久寿命がネック
プレートがへたってきた場合、ただのクッション性のある重い靴と化します。
1足を履き倒してガツガツ走り込むには向いていないと思います。
総評
人によって相性はあると思いますが、非常に面白いシューズです。
2019年現在シリーズは「3」まで出ており、デザイン機能ともにかなり先鋭化してきています。
「ヴェイパーフライ」の廉価版的位置付けで、セールにかかると1万円を切ることもあります。ヴェイパーフライが気になっている方は、こちらから入るのも手かと思います。
今回はここまで。