今週のお題は「秋の空気」です。
大学院生時代、秋に校舎隣の原生林までキノコを採りに行ったことを思い出します。
持ち帰った後にゼミ室で図鑑と睨めっこしながら鑑定、その場で調理していました。
こうして書き起こすと普通に危険行為ですが、今となっては良い思い出です。
今回はそんな思い出深い「キノコ」についてアレコレ書いてみました。
キノコの雑学アレコレ
キノコはカビと同じ「菌類」に属しており、種ではなく「胞子」で増えていきます。
また、キノコは葉緑素を持っていないため、光合成によってエネルギーを生産できません。このため、落ち葉などに自身の菌糸をめぐらせて、そこから栄養分を得てきています。
そして、繁殖に必要な「胞子」を生産するため、菌糸の集合体である子実体を作ります。この子実体が「キノコ」と呼ばれているものです。
食品安全委員会webサイト より引用
キノコは「菌類」の子実体ですが、もともと「菌」は「キノコ」を指す言葉でした。
後になって、カビやら酵母といったキノコに似ていると考えられた生物の雑多なグループが「菌類」とされるようになっていったそうです。
そんなキノコですが、面白いデータが沢山あります。今回はその中からいくつか雑学をピックアップしてみました。
未知のキノコが多い
世界では既に約2万種のキノコが発見されているそうですが、これは総数の1割にも満たないという説があります。
日本のキノコについても良くわかっていないことが多いそうで、林野庁のwebサイトでも以下のような書かれ方をしています。
日本には、4,000~5,000種類のきのこが存在していると言われていますが、正確な数は分かっていません。
このうち食用とされているきのこは約100種類、一方、毒きのこは200種類以上が知られていますが、その他の大半のきのこについては、食毒が不明となっています。
総数も分かっていない、大半のキノコが毒性の有無も分かっていない。何というスケール感でしょうか。
食用種が約100種類、毒キノコは200種類以上ということを鑑みても、食べられるキノコは1〜2割くらいなのかもしれません。
そのへんに生えているキノコを適当に食べると、食用に適さない不味いキノコか毒キノコに当たるということです。
キノコの食中毒は10月がピーク
厚労省の「食中毒統計」からも分かるとおり、キノコによる食中毒は10月が圧倒的にピークです。
やはりキノコ全体が豊作の年には食中毒が発生しやすいようで、例年20〜40件、40〜100名程度が被害に遭っているようです。
死者数は意外に少なく、多い年で2〜3名。連続で0名という年もあります。
「毒キノコ御三家」なるものがある
毒キノコの被害の7割ほどは「ツキヨタケ」「クサウラベニタケ」「カキシメジ」の3種によるものとされています。
いずれも「食用種と紛らわしい」「加熱処理などでも毒性が損なわれない」といった特徴があります。症状は「嘔吐」「腹痛」「下痢」と死に至る可能性は低いようですが、クサウラベニタケは可食種のシメジ類と非常によく似ており、御三家の中でも毒性が強いようです。
上記例ではドクササコの件数も多くなっていますが、ドクササコはちょっと変わったキノコです。
多くの毒キノコは摂取して間も無く消化器系に異常をきたすことが多いですが、ドクササコの場合は食後長くて1週間後、身体の末端部に神経症状が出ることが特徴です。
その症状が厄介で「焼けた鉄を押し当てられるような激痛」が1ヶ月ほど続くのだそうな。
毒性や作用機序については良く分かっていないことも多く、モルヒネの鎮痛作用も効果がないとのことで治療方法も無し。即死するような毒ではないそうですが、とんでもないキノコです。
ちなみに有名なベニテングタケの件数はわずか2件ですが、認知されていないだけで食べた人はもっと多くいると思われます。
何せ毒成分であるイボテン酸は、グルタミン酸の10倍のうま味があるそうです。
毒キノコではありますが毒性が比較的弱いことから、ネット上でも食レポが何件か上がっているのを見ることができます。
まとめ
・キノコについては分かっていないことが多い
・キノコ狩りの際は御三家に注意
キノコ狩りのスタンス的には「目当ての種類は絞る」「疑わしいキノコは食べない」のが良いかと思います。
基本的に無害な種であっても、中には生育場所によって有毒化するケースもあります。単独で判断せず、複数人で鑑定するのがベターではないでしょうか。
今回はここまで。