【caution!】
本稿は私見が入った記事です。
突然ですが、皆さんは疲労回復のルーティンを持っていますか?
特にスポーツをされている方は「疲れた時はコレ」というような流れを持っているのではないでしょうか。
世の中には様々なリカバリー方法やツール、サプリメントが溢れていますが、今回はそのひとつ「酸素カプセル」についての話題です。
概要
まず、酸素カプセルの概要についてザックリ見ていきましょう。
酸素カプセルとは?
酸素カプセルは「液体に溶解する気体の量は、その気体の分圧に比例する」というヘンリーの法則に基づいています。
人間1人分のスペースのカプセルの内部に入り密閉を行い、加圧装置によって内部の気圧が標準気圧以上の、1.1-1.5気圧程度に加圧される仕組みの健康機器。
機種によっては酸素濃縮機を備え、地球の大気に含まれる酸素の割合よりも酸素の比率の多い気体(空気)を内部に充填するタイプの機器もある。
加圧された内部環境で横になって休息することで、上昇した酸素分圧を背景に肺胞から酸素を取り入れる効率を向上させるといわれ、疲労回復や血行促進に効果があるとされる。
通常より血液中に酸素が溶けやすくなる現象を溶解型酸素の増加と表現する媒体もある。
wikipedia より引用
私自身、いくつかの施設で酸素カプセルを利用したことがあります。だいたいは1.3気圧程度に加圧する装置でした。
したがって、世の中の治療院やサロンにある「酸素カプセル」は厳密には「加圧カプセル」であるといえます。
酸素カプセルの効果は?
メーカーサイトなどでは、下記のような効果が謳われています。
- 疲労回復・コンディショニング
- 怪我の回復を早める
- 美容・アンチエイジング
- ダイエット
- 身体の歪みの改善 etc.
一方「酸素カプセル」で検索すると「効果なし」のサジェストが出てきます。
実は酸素カプセル、効果の有無はまだ良くわかっていません。
医療行為である「高気圧酸素治療」では血管系の障害等に効果があることが実証されているようですが「酸素カプセル」と「高気圧酸素療法」は根本の原理は似ていますが別物です。
☆高気圧酸素治療と酸素カプセルの違い
近年、疲労回復や美容目的として、酸素カプセルを利用する人が増えています。
酸素カプセルは、空気加圧(酸素 約 21%)で約1.3 絶対気圧まで加圧していきます。この場合、体内に取り込まれる酸素分圧は、通常の大気圧の酸素分圧と比べて、約1.5 倍。
しかし、高気圧酸素治療では、約100%酸素吸入で2~2.8 絶対気圧まで加圧していきます。そのため、体内に取り込まれる酸素分圧は約15~20 倍にもなります。 酸素カプセルと比較して、酸素の量は10倍以上になり、効果も全く違ってきます。
高気圧酸素治療装置は、薬事法で規定された医療機器であり、医療目的として使用されていますので、酸素カプセルとは異なるものになります。
公立富岡総合病院webサイト より引用
酸素カプセル関係の論文
では酸素カプセルは完全にプラシーボかといわれると、そんなことはありません。
仙台大学の研究「運動間の休息時における高圧高酸素環境滞在が 最大無酸素パワーに及ぼす影響」では、非医療用のシェンペクスの高気圧キャビンを用いた実験を行なっています。
自転車エルゴメーターでの10秒全力ペダリング3回から無酸素パワーを測定。
1時間安静をN試行、1時間高気圧キャビン内で安静をH試行としたところ、下記のような結果に。
「運動間の休息時における高圧高酸素環境滞在が最大無酸素パワーに及ぼす影響」 より引用
このことから、論文のまとめでは「運動間の休息時に高圧高酸素環境に滞在することは、最大無酸素パワーの低下を抑制することが示唆された」としています。
被験者の体力レベルなど様々な要因が絡んだ可能性があるとはいえ、ここまで有意差が出た以上は酸素カプセルにも何らかの効能があったと考えるべきでしょう。
酸素カプセルの体感効果は?
私個人の体感ですが、バキバキに疲労している時に酸素カプセルを使っても焼け石に水という感じです。
酸素カプセル内で寝るとメチャクチャ良く眠れるので、一時的な寝不足には体感効果があります。肉体が疲労困憊ですと余り体感効果がありませんでした。
沢山食べて、湯船に浸かって、多めに睡眠をとる。これに勝る疲労回復法はありません。
ではどういう時に使うのかといいますと、大会前の疲労抜きと併せて「最後の一押し」に酸素カプセルを利用することが多いです。45分〜1時間コースを大会前に1、2回利用しています。
次の日、普通に過ごしている分には変化を感じません。スプリントの動きをして初めて潤滑油がささったように身体が動くのを感じました。
プラセボかもしれませんが、日常では使うことがない領域がメンテナンスされる感じです。
まとめ
・酸素カプセルの有用性については諸説ある
・体感効果があるなら継続利用するのも手
酸素カプセルの有用性については未だハッキリしていません。
とはいえ、仮に1%でも効果があるとすれば、単純計算で100m11秒0の選手は10秒89を出せる計算になります。
原理はともあれ、体感効果があるなら利用してみるのも良いと思います。
今回はここまで。