向かい風参考記録

北国在住。陸上競技、その他 いろいろ。

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「靴を履くより裸足で走った方が速い」というのは本当なのか

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どうも、森です。

今回は変わり種的な話題です。

 

皆さんの周りには、体育の時間、裸足で走っている人はいませんでしたか?

私の通っていた学校はグラウンドの土質が悪く、カラカラに乾燥した土の上に砂状の土の層。靴だと滑るため裸足で走る者もおりました。

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「明日ちゃんのセーラー服」2巻 より引用

とはいえ、グラウンドには粒の大きい土も点在していたため素足ではリスキーすぎる…ということで、体育の時間は次第に靴下派が台頭する無法状態と化しました。

本人たちに言わせると「裸足の方が早く走れる」そうですが、本当にそうなのでしょうか。今回はそんな論文のお話です。

論文概要

今回ご紹介するのは「靴と裸足による50m走 ― タイム, 走速度, 脚 (大転子点と足関節を結んだ線)の接地直前の最大振り下ろし速度の観点から ― 」。同志社大学での研究のようです。

研究の端緒ですが、これがまた清々しいまでの知的好奇心。

子どもたち,とりわけ運動会などで小学生の「裸足の方が速く走れる」,「速く走れるから裸足で走る」に類似した会話を聞く。

一方で,靴の研究は進み,とりわけ一流競技者を対象にスパイクの研究が進んでいる。「はたして子どもは靴よりも裸足の方が速く走れるのだろうか?」が,本研究の端緒である。

今回の対象はあくまでスプリント。一部ランニング界隈を賑わせているベアフット教とは別の観点からのものです。「足本来の機能が解放されて云々…」みたいな宗教的な話は今回抜きです。

論文の内容

複数回実験を行なっているということで、個別に見てきます。

実験1

対象

本実験の被験者は,8歳女児,9歳男児,10歳女児,そして13歳女児の4名であった。

この4名の被験者は,筆者がボランティアで土曜日に行っているスポーツ活動に参加しており,運動に対する動機付けは相対的に高かった。

学生の頃を思い出しますね。教育関係の学部は小中学生を対象にこういった実習がありました。

これもその一環に絡めた研究でしょうか。

方法

実験は,2003年11月5日に行われ,D大学陸上競技場オールウエザー上で50 m走のタイムが測定された。

測定は1回目と2回目は靴を履いて,3回目,4回目,そして5回目は裸足で,6回目は靴を履いての合計6回実施された。

なんと測定はオールウェザーのトラック。土のグラウンドではありません。

複数回、順番を変えながら走ることで、裸足・靴で走る「順番の影響」を排除しています。

結果

何と対象4名全て「裸足の方が速い」という結果に。中には0.5秒もタイムを短縮している被験者もいました。

この結果については下記のとおり綴られています。

しかし,被験者数が少ないこと,また, 50m走の際に履いていた靴がランニング用とは言えなかったため,さらに,子どもの50m走において,靴を履いた場合と裸足の場合でタイムに違いがあるのかどうかの検討が求められた。

そうなんですよね、私も教育実習のとき、子どもがコンバースのスニーカーで100mの測定をしている風景を見て愕然としました。

実験2

実験2では小学5、6年生68名を対象に同様の実験を行いました。

なんと68名中53名は裸足の方が速いという結果に。全体に統計をかけても、やはり裸足が優勢。

しかし、最初の実験で課題であった「靴の問題」は依然としてあったようです。

実験3

対象・方法 

京都府京田辺市内のD中学・高等学校の陸上競技部員の協力を得て, ランニング・シューズと裸足,そしてスパイクによって50m走を測定し,同時に走動作のビデオ撮影を行い,脚(大転子転と足関節を結んだ線:図2)の接地直前の最大振り下ろし速度について検討した。

「ならば熟練者で実験してみよう」ということなのか、中高の陸上部を対象に。

ちなみにスパイクでの結果は今回ノータッチのようです。

結果 

なんと被験者全体では裸足の方が有意に速いという結果に。 人数の問題なのか、中学生男子・中学生女子のようにグループを細分化すると「有意差なし」という結果に。

「走る」ということに慣れていない素人の小学生ならいざ知らず、中高の陸上部を対象にしてこのような結果が出るのは意外でした。

まとめ

「なぜ裸足の方が速く走れたのか」ということですが、脚の振り下ろし速度が高まったことが要因として挙げられていました。

その速度が高まった理由は仔細には書かれていません。憶測ですが、単純に「靴」という重りが取り払われたことも大きいのではないでしょうか。

今回の被験者は一番速い選手で100m11秒8。スプリント動作は、結果として地面を思い切り殴るような負荷がかかります。11秒を切るくらいですと、かなりのハードパンチャーといえます。

11秒前半から10秒台くらいの選手を対象にすると、結果も変わってくるのではないでしょうか。

10秒台の選手の協力を得るのは難しそうですが、そういった研究があっても面白いですよね。

 

今回はここまで。

 

【参考リンク】

同志社大学学術リポジトリ