【caution!】
本稿は私見が入った記事です。
どうも、森です。
久々に手強い腰痛になってしまいましたので、備忘録兼ねて書きます。
そもそも腰痛の原因は…
「風邪薬の特効薬を発明することができればノーベル賞ものだ」という話を聞いたことはありませんか。
これは風邪の原因菌が非常に多く、いわゆる「風邪薬」が風邪の諸症状を緩和するに過ぎないことからそう言われています。
実は腰痛にも同じことがいえるでしょう。もし、あらゆる腰痛を根治できるメソッドがあればノーベル賞をとれると思います。
そのくらい腰痛の原因は多岐にわたり、それに合わせて適切な療法も異なります。甚だしいケースでは、骨や筋肉ではなく内臓疾患が原因というケースもあります。
スプリンターと腰痛
他のスポーツと厳密に比較したわけではありませんが、スプリンターには腰痛持ちが多い印象があります。有名選手でいえば、ざっと検索して出てくる限り山縣選手、桐生選手、藤光選手などは腰痛に苦しんだ経験があるようです。
原因は様々ですが、下記のような理由が多いと思われます。
- 大腿部の筋肉の硬化
- 大腰筋・腹横筋等の筋力・機能低下
- 無理なフォームで高重量のウエイトを扱った
腰痛には急性(いわゆるギックリ腰)、慢性のものがありますが、私が今まで会ってきた中では大腿直筋、大腿筋膜張筋あたりが硬化していて「慢性的に痛い」というタイプが多い気がします。脚が流れないよう前へ引っ張る動作を繰り返すうち、いつのまにか脚の付け根あたりの筋肉が硬化していることもあります。
腰椎分離症を患っている選手も何名か。私の周りでは、なぜか持ちタイムが良い選手に多い傾向がありました。
もともとヒトの背骨は横から見るとS字にカーブしています。これはショックから人体を守るための構造ですが「地面からの反発を殺さない」という観点からは邪魔な機能といえます。中にはこのS字を潰すようにして反発を得ている選手もいるとかいないとか。凄いですが、腰には悪そうですね。
腰痛の種類
あまり無責任な情報を書くのもどうかと思いますが「慢性的に痛む」「反ると痛む」「腰の狭い範囲が鋭く痛む」場合は大腰筋の機能低下の疑いがあります。
大腰筋には体幹や骨盤の安定作用がありますが 、機能低下を起こすと椎間関節や周辺組織を刺激してしまい、痛みに繋がるケースがあります。
原因がわからなければ、対処法も絞りづらいのが正直なところ。
「腰が何週間か前から痛みます。来週大会ですが、どうしたら…」のような投稿をネットで見かけますが、まずは専門家の診察を受けることをオススメします。
腰痛の治療・ケア
今しがた書きましたが、まずは専門家の診察・治療を受けてください。慢性腰痛をセルフケアや静養のみで完治させるのは難しいと思います。
できればスポーツ障害に理解のあるところでの治療を受けることをオススメします。スポーツが原因の腰痛は、非日常の動作が原因であることが多いからです。
よほどの僻地でなければ、地区に1つ2つは評判の良いところがあります。ネット検索では出てこないところも多いので、これは周囲の人に聞きましょう。
チームの仲間でも良いですが、強豪校の選手や先生などは御用達の治療院が必ずあります。ぜひ教えてもらいましょう。
治療院自体が僻地にあるケースもありますが、腕の良いところであれば一回の治療でかなり良くしてくれます。遠方でも行く価値はあるでしょう。たまに宗教っぽいところもありますが。
スプリンターの腰痛に関する研究
アスリートの腰痛に関する研究をご紹介します。
検索の仕方が悪かったのか抄録版(?)しか見つかりませんでした、申し訳ありません…。
実際の研究
「大学スポーツ競技者における腰痛と体幹部の筋力: 筋力バランスを中心に」を確認していきましょう。
実験条件
腰痛の既往の有無で群分けをして測定したようです。
測定1の対象は,大学運動競技部所属の男子107 名(野球85名,短距離22名),測定2の対象は,大学運動競技部所属の男子95名(野球79名,短距離16 名)であった.
また体幹部の筋力測定について,等運動性筋力測定装置の Biodex (System3)を用い,角速度 0・30・ 60・90度/秒を測定し,ピークトルク値を体重で除 した値を算出した.
また伸展(Ex),屈曲(Fl)の 筋力バランスを E/F 比で算出した.
実験結果・考察
過去12ヶ月の腰痛の既往の有無による体幹筋筋力の比較では,Non-LBT 群と12ヶ月LBT群に有意な筋力差はみられなかった.
また最近7日間の腰痛の有無による比較では,Non-LBT群と7日LBT群に,ほとんど全ての筋力測定で有意な差はみられなかった. また測定時の腰痛重症度と体幹筋筋力の関係に相関はみられなかった.
ちょっと端折って引用させていただきましたが、「一概に腰痛だから体幹筋力が弱い」 とはいえなさそうです。
次に筋力バランスについて,Lee et al.3)は 5 年間の追跡調査における,腰痛発生群の E/F 比は,腰痛発生群で0.96±0.27,腰痛非発生群で1.23± 0.28,腰痛発生群で有意に低値を示したと報告した.
これは本研究と同様に,E/F 値が低値の者で腰痛発生率が高いことを示している.
よって,大学スポーツ競技者においても,体幹部の筋力バランスが重要であることが明らかになった.
伸展(E)/屈曲(F)比が低値の者で腰痛発生率が高いということは、伸展力が屈曲力に比べて弱いと腰痛発生率が高いということでしょうか。
「腰痛防止」というと、せっせと腹筋運動をしているイメージがありますので、ちょっと意外ですね。
まとめ
- 腰痛症状の診察・治療は専門家のもとへ
- 慢性腰痛は背面の筋力低下も関わっている可能性がある
筋トレによるリハビリも、治療を受けたところの指示を仰ぎましょう。
久々に腰痛になってわかりましたが、スポーツでの慢性腰痛は放置しても良くなりません。ぜひ自分にあった治療院を開拓してみてください。
今回はここまで。
【参考リンク】