どうも、森です。
たまにはスポーツ以外の真面目な話を…ということで、仕事関係の話です。
先日、公共施設のあり方に関する研修会がありました。
印象的な話がたくさんありましたので、特に気になった部分などを備忘録的に書き出したいと思います。
公共施設の現状
皆さんは「公共施設」というと、何を思い浮かべるでしょうか。
役所、公民館、図書館…学校の体育館などもそうですね。周知のとおり、この「公共施設」はリソースを有効活用し切れていません。
特に「スポーツができる場所」としての学校は、まだまだあり方に改善の余地があるでしょう。
学校のグラウンドが解放されれば日本は世界で有数のスポーツ施設保有国になれる。全ての学校に体育館やプールがついている国なんてない。少子化で生徒数が減りながらグラウンドは解放されない。スポーツ施設として考えるとグラウンド使用率の低さは群を抜いている。
— 為末 大 (@daijapan) 2019年1月7日
スポーツ施設以外についても、概ね以下のような傾向があります。
- 人口減少により利用者は今後減っていくと思われる
- 財政を圧迫している
- 施設老朽化により、更新or解体のタイミングのものが多い
特に地方の自治体というのは、ハコモノのランニングコストにかなりの金額を割いています。人口が最も多い時期に建てられたものが、今になって財政を圧迫というケースも珍しくありません。
解体にも多額の費用がかかり、結果的に塩漬けされている施設も多いようです。
今後の公共施設について
それでは、今後の公共施設の在り方はどのようにシフトしていくのでしょうか。
研修で印象的だった話を3点ほど絞って書きます。
ターゲットは明確にするべき
行政主体でイベントやハコモノを作るとき、しばしば「フォーラム」を開いて話し合います。
なぜかといいますと、住民のコンセンサスを得られたという証拠になるからです。嫌な言い方をしますと「アリバイ作り」です。
もちろん、フォーラムに参加する自治体職員も地域住民も「施設の運営」に関しては素人。だいたい出てくる意見はアレコレ盛り込まれた「皆が使える、楽しめる」施設案。ここで厄介なのは、この「皆」というのは実体がないということでしょう。
現実的には「老若男女が100%楽しめる」施設はあり得ません。あのディズニーランドでさえ、老若男女が100%の満足度が得られるようにはなっていないし、初めからそう設計されていません。
今後は公共施設も「誰が、どういった目的で」のような部分が明確化されていないと、ほぼ確実に失敗するでしょう。
人を動かすのは理屈より感情
「皆さんは最近、公共施設を利用しましたか?」
「なぜ公共施設に人が集まらないのかといいますと、楽しくないからです」
このテの話で例に挙がるのは、野球サッカー禁止、バーベキュー禁止、何もかも禁止されてしまった都会の公園。何もかも禁止された公園が楽しいわけがありません。
運動不足の人は運動しなければいけない…というのは理屈ですが「楽しそう」という感情が無ければ体育館にも人は集まりません。最終的に人を動かすのは感情です。
自分ごととして捉えられるか
「官民連携」とはいったものの、従来のようにコンサルタント業者の案を役所が添削するという流れでは、行政側が自分ごととして取り組みません。
自分で背景を考え、解決方法を提示するようでなければ自分ごととして捉えられません。
例えば「泊まれる公園、INN THE PARK」「ラブライブで町おこし」で一躍有名となった静岡県沼津市などは、官民の関係各位が良い関係性で協力し合った成功例の一つでしょう。
個人的な妄想
今後は各自治体とも、いかに民間の知恵を借りていくかが鍵になると思います。
以下、完全に個人的な妄想です。
公共施設の複合化
「コンパクトシティ」という言葉に代表されるように、今後の都市機能はコンパクト化が推進される見通しです。
それに合わせて公共施設も散在させず、複合化してはどうかと思っています。たとえば図書館と体育館をボーダーレス化するとか。
書架の横には勉強スペースがあって、扉を一枚隔てた先には散歩できる廊下がある。廊下にはボルダリング用の取っ手がついていて、壁を登ることもできる。更に進むとバスケットコートや球技スペース。
もちろん、トレーニングで気になる事があれば図書館に直行できますし、勉強した後にスグ体を動かすこともできる。スポーツ→読書、読書→スポーツといった、通常では中々発生しない動線を生み出すことができるのではないでしょうか。
トレッキングコースに図書スペースがあってもいいですね。読んで気になった植物を森に探しに行ったり、散策のときに見かけた動物の名前を図書スペースで調べられます。
公共施設の商用利用解禁
上記のような案を考えると、真っ先に金銭面での問題が出てきます。行政主導では費用が捻出できません。そこで企業の誘致になります。
現状、多くの公民館や自治体の研修施設は商用利用が厳しく制限されています。もちろん然るべき秩序は必要ですが、時代に即した制度とは思えません。撤廃されるべきです。
歴史的な施設も「ナントカ遺産」の指定を受けていないことを逆手にとり、ガンガン商用利用している自治体もあるのだとか。
まとめ
思った以上に先進地は官民連携が進んでいます。
つい「企業誘致とか商工部署の担当じゃないの?」と思ってしまいがちですが、そうも言っていられない時代が来たということでしょう。
流動的になり過ぎて色々な所に引っ張られまくるのもどうかと思いますが、今後は間違いなく行政と民間がより近い関係になってくることでしょう。どんな化学反応があるのか、少し楽しみです。
今回はここまで。