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人工知能(AI)が短距離選手のトレーニングを考えてくれる日が来るかもしれない

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caution!

本記事は2019/1/14に投稿されたものをリライトしています。

競技スポーツを行う上で、トレーニングの頻度や強度設定は悩みの種のひとつです。対象のレベルやコンディション、目標によってそれぞれのアプローチがあるため「正解はない」というのが現時点での知見でしょう。

しかし近い将来、人工知能がこの分野に参入してくるかもしれません。今回は「人工知能×陸上競技」の話題です。 

概要

「人工知能がトレーニングメニューを提案する」という試みは、実は既にフィットネスやボディメイク界隈で実用化されています。利用者のニーズに合わせてトレーニングメニューを選択できるようになっているようです。

同じく陸上競技も定量・可視化できる領域が広いスポーツです。現在は東京電機大学でそのような研究が行われているようです。

モチベーション維持のための仮想ライバル提示

身近に適切なライバルがいない場合に、仮想的なライバルの活動を提示して、個人のモチベーション維持を支援するシステムを構築しています。

陸上競技選手のブログから大会記録や日々の練習内容を抽出し、実力を比較して可視化したり、活動の内容の可視化を行います。

たとえば,走り込みを行う「ダッシュ」の練習量を距離ごとに集計して比較すると、ライバルたちの練習の特徴が把握できます。自分より少し実力が上の選手の活動内容を自分の練習メニューに取り入れることもできます。

Web工学研究室 - 情報メディア学科 - 東京電機大学 より引用

現段階ではぶっ飛んだ発想のように思えますが、仮に実用化されたならばトレーニングメニューの強度で悩む時間、無駄な失敗を最小限にできるはずです。とんでもないイノベーションが起きそうではあります。

研究紹介

今回は東京電機大学の研究より「陸上競技ブログからの活動記録抽出と可視化」をご紹介したいと思います。

対象

(前略)100mの種目にエントリーしているブロガ2名を選出し,記録の推移グラフとレーダチャートを用いて可視化実験を行った.

100m走11秒台前半〜中盤のA、11秒台中盤〜後半のBの2名が最終的な対象になったようです。

研究の内容

カテゴリ(走る練習、筋トレなど)と量を自動判別、トレーニングにまつわる単語に反応するシステムを試作し、被験者2名が運営しているブログから「メニュー名」「内容」「 量」「セット数」を抽出しています。

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2015年6月28日から同年の7月28日までの2名分のブログ記事から,4 節で提案した手法を用いて活動内容105件と大会記録7件を抽出し,人手でグラフにデータを追加した.

結果

記録の推移とトレーニング内容の対照から、被験者Bの記録が伸び悩んだ原因を「技術を鍛えるトレーニングの不足」と考察するに至っています。

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大会結果は抽出漏れなど無かったようですが、トレーニングについては「接地感覚の調整」「チューブトレ」といった、内容や量が付随していないものは抽出し切れなかったようです。

今後の展望については、このような抽出によりライバルを設定することでモチベーション維持を期して実験を行う予定のようです。

今後は,抽出したデータを自動でグラフに追加し,実際にユーザに利用してもらうことで,モチベーション維持できるかどうかの実験を行う.

まとめ 

今の段階で分かったことについては、ザックリ以下の通りです。

・記録の推移とトレーニングの対照が可能である

・内容や量が付随していないものは抽出できない

ブログだけでなく、twitterやその他SNSのデータを万単位で自動収集できれば、記録とトレー二ング内容は一定の範囲に収束してくるのではないでしょうか。

記録向上のみならず、怪我からの復帰・リハビリ過程にも応用できそうです。今後が楽しみな研究ですね。

 

今回はここまで。