向かい風参考記録

陸上競技 その他 いろいろ

【スパイクレビュー】高反発×軽量再び…アディゼロプライムSP2を今更レビューしてみる

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/W/Wetland/20190108/20190108234848.jpg

どうも、森です。

以前レビューしましたアディゼロプライムSPの後継モデル、アディゼロプライムSP2を入手しました。

ここ数年、ロードやトラックを席巻するようになったナイキへの対抗品になり得るのでしょうか。早速レビューしたいと思います。

【関連記事】

www.mukai-kaze.com

概要

基本的にはアディゼロプライムSPのマイナーチェンジです。

シンプルに軽量・高反発というコンセプトはそのままに、アッパーの強度を補強したような代物です。

カタログスペック

例によってSTEPさんのサイトから引用させていただきます。

アディダスが誇る最軽量のスプリント・スパイク!!

参考サイズ:27.0cm,重量:125g(片足),ウィズ(足幅):E相当 軽量アッパーをシームレスに仕上げ、足に吸い付くフィット感を実現。 1.3mmのカーボンプレートと、スチールより65%軽量なナノセラミック合金のピンが抜群の推進力を発揮し、フィニッシュ時に他を置き去りにする。

100〜200メートル対応。

◆アップデートポイント ・アッパー・補強パーツ シングルメッシュ+ボンディングTPU→合成皮革 ⇒空気抵抗を抑える。

◆オールウェザー専用スパイク

STEP通販サイト より引用

アディゼロプライムSPからの変更点は?

「アップデートポイント」で書いてあるとおり、アッパー部分に補強が入ったようです。

そのせいか重量がアップしています。アディゼロプライムSPが1足99gだったのに対し、SP2は125g。グッと重くなったように感じますが、それでも他社製のスパイクより断然軽いです。

軽量スパイクの代表格であるミズノのクロノインクスは26.0cmで140g。これを鑑みると、最初の1足99gが「やりすぎ」だったのかなと思います。

また、素材を合成皮革化し、空気抵抗を抑えることで重量アップのデメリットを相殺しているような説明ぶりです。

外観

アッパーがリニューアルされたということで、見た目的にはアディゼロプライムSPからかなり変わったように見えます。

f:id:Wetland:20190108234848j:plain▲アディダス特有の縦長シルエットは健在

他のスパイクとの比較

前モデルのアディゼロプライムSPと外観を比較してみます。

f:id:Wetland:20190108235158j:plain▲プライムSPの型崩れが酷い

アディゼロプライムSPのアッパーがメッシュ構造だったのに対し、合成皮革のアッパーでツルッとした印象です。

プレート・ピン配列

変更はアッパーのみということで、ゴリゴリにシンプル路線のプレートは健在です。

f:id:Wetland:20190108235712j:plain▲プレートは変更なし

他社スパイクとの比較については、アディゼロプライムSPの記事でやっています。こちらをご参照ください。

特徴・使用感など

プライムSPとあまり使用感自体は変わらないかな、というのが正直な感想です。インプレですので、使っているうちに何か違う点が出てくるということはあり得ますが…。

軽量・高反発路線は健在

先ほどカタログスペックでご紹介したとおり、確かに重量はアップしました。手で持ってみてもわかるくらいの違いはあります。

しかし、それでも125g。ミズノのクロノオニキスは26.0cmで125gですから、同等かそれ以上に軽量です。

いざ履いてみると「重い」などという印象はありません。

ここで同じく高反発路線の他社製品「ナイキ ズーム スーパーフライエリート」(27.0cmで約140g少々)の開発エピソードを見てみましょう。

シューズの硬さが増すほど、短距離走のタイムの短縮につながることもわかった。

(中略)

陸上用スパイクに硬さを求めることで、結局はシューズの重量化につながってしまいがちだという。シューズの硬さだけを追求するとスパイクは重くなり、「硬ければ硬いほど速い」という方程式は崩れてしまう。シューズが重すぎれば、いくら硬くても選手は速く走れない。

重さと硬さの関係に悩んだナイキのデザイナーは、コンピューテーショナルデザインに目をつけた。「ジェネラティヴデザイン」、あるいは「アルゴリズミックデザイン」とも呼ばれるそのデザイン手法は、より軽量で、丈夫な構造を制作するのに理想的な方法だからだ。

ナイキの美しき「アルゴリズミック・シューズ」が、五輪の100M走を劇的に変える

ナイキが「固いスパイクを作ると重くなってしまう」という事実と向き合い、研究に研究を重ね作ったスパイクが140g。それをあざ笑うかのような軽量さです。 

また、市販品ではあまり見られないカーボンプレート。スーパーフライエリートのプレートは合成樹脂ですので、ここにも違いがあります。

フィッティングも少し良くなった?

アッパー周りのアップデートに伴い、足首周りも合成皮革になっています。

これに伴い、若干ですがフィッティングが向上している気がします。ただし、履き心地自体はプレートがガッチリ固いので相変わらずハードです。

良い点・悪い点

良い点・悪い点については、殆どプライムSPと変わりません。敢えて再三書くなら…という点を少しだけ書きます。

とにかく高反発

見てのとおり、とにかく凶悪なまでの高反発プレートです。

f:id:Wetland:20190109003020g:plain

▲新品はマジで手で曲がらない

これについては良い点であり、悪い点でもあります。固いプレートが苦手な人には合わないと思います。

ベルセルクでガッツが使っているドラゴン殺しみたいなものだと思ってください。

耐久性は相変わらず

これはまだ長期間履いていませんので何とも言えませんが、アッパーを合成皮革にした所で耐久性は変わらずといったところでしょう。むしろ、合成皮革は水や紫外線で劣化します。

さすがにスポーツメーカーですから無対策ということは無いでしょうが、引き続き経過を見守りたいと思います。少なくとも、練習で多用して履くスパイクではないと思います。

サイズ感が独特

これはプライムSPの段階でもそうでしたが、やや靴自体が長めです。私は他社スパイクは27.0cmでしたが、これは26.5cmでジャストでした。

これは個人差があると思いますので、できればアディダス製のスパイクを一度試着されることをお勧めします。ランニングシューズ とはまたサイズ感が違います。

総評

「良いところはそのままに、気になるところを手直ししました」という感じです。もともとシンプル路線で完成していたからこそ出来る芸当でしょう。

以前からのユーザーは、あまり違和感なく継続使用できると思います。

一方、前にアディゼロプライムSPを履いたけど全く合わなかった…というユーザーが履いても「劇的に履きやすくなった!」とはならないと思います。

国内ではSTEPくらいしかマトモに販売していないことからもお察しの通り、相変わらずピーキーなスパイクという印象です。ただ、ハマれば理屈上は最強のスパイクの一角でしょう。接地脚への乗り込み、パワーに自信のある方向けの一品です。