向かい風参考記録

北国在住。陸上競技、その他 いろいろ。

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受動的かつ高負荷なトレーニング「坂下り走」「飛び降り」について考えてみる

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【caution!】

本稿は私見が入った記事です。

どうも、森です。

瞬発系の競技をやっている以上、避けて通れないのが高負荷トレーニング。

しかし「今日は高負荷の日なんだけれど、なんだかエンジンのかかりが悪い」という日もあります。 

そういった日にオススメなのが、受動的かつ高負荷なトレーニング。「ヨイショ」と能動的な出力をあまり必要としない割にエキセントリック収縮が入り、高負荷をかけることができます。

今回は「坂下り走」「飛び降り」についてご紹介します。

坂下り走

その名のとおり、下り坂を走るトレーニングです。

私自身は次のようなシーンで多用しています。

  • シーズンイン直後でスピード系の感覚を解凍したいとき
  • 時間がなく、競技場でスピードトレーニングができないとき

特徴やトレーニング効果

このトレーニングの特徴や、具体的な効果などをみていきます。

特徴

通常、スプリントは加速ー等速(維持)ー減速区間があります。

このトレーニングの良いところは、能動的に加速してスピードを作る必要がないということです。

走り込みをしているときには顕著だと思いますが、トレーニングの際の疲労で先にヘタレてくるのが「スピードを生み出す力」です。

このトレーニングには、以下のようなメリットがあると考えられます。

  • 消耗が少なく、最高スピードの状態を反復できる
  • 走りの切り替えの必要がなく、等速区間の走りに専念できる

100m走でいいますと、最高速度が出ている区間の走りは最も重要と言われています。坂下り走は、その最も重要な部分を集中的にトレーニングできる分習法といえます。

効果

では、具体的なトレーニング効果はどういったものでしょうか。

実は、このトレーニングの具体的な効果について考察している研究は少ないようです。実験条件を作り出したり、コントロールするのが難しいからでしょうか。

2012年ロンドンオリンピック代表の九鬼巧選手の論文では、下記のようにまとめられています。 

坂下り走の走速度は平地走の走速度と比較して有意に増加し、坂下り走の利用はオーバースピードでの疾走が 可能であることが明らかとなった。

また、坂下り走のピッチは平地走のピッチと比較して有意に高値を示したことから、ピッチの増加が走􏰀度の増加につながったといえる。

したがって、最高疾走局面におけるピッチの増加を念頭としたトレーニングの方法として、坂下り走を用いることは有効であると考えられる。

一方、坂下り走と平地走とのストライドには有意差は認められなかったことを考慮すると、坂下り走では、ストライドの増加を主眼とするよりも、選手の身体特性に応じたストライドで疾走することが重要であるといえる。

坂下り走の有用性に関する研究 より引用 

検索の仕方が悪かったのか、抄録しか見つかりませんでしたので何とも言えませんが、ピッチの増加が疾走速度の増加に寄与しているようです。

また、平地とは異なる条件下ながら、フォームそのものの変化はそれほどでもないようです。疾走速度は股関節の伸展速度が速くなることで増加しているとのこと。

ということは、平地を走る際のトレーニングとして有用と考えられます。

デメリットや注意すべき点

注意すべき点として、まず斜度やサーフェスは十分に吟味するべきということです。

あまりに斜度が大きいと、ブレーキ動作がかなり入り走りに専念できない可能性があります。また、脚にかかる負荷自体は平地よりも大きくなるはずです。スファルトやコンクリート上での実施はおすすめしません。

このように砂地で実施したり、土のあるところで実施するのも良いでしょう。

私の場合、公園の芝生で実施することが多いです。傾斜〜平地への移行部分を使えば、より平地でのスプリントに近いトレーニングができると考えています。

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▲やはりピッチが速い気がする

あとは、「慣れ」が出てくるレベルで実施しているとフォームに影響が出る可能性があります。

論文では単発の実施だったためフォームに悪影響はなさそうでしたが、私自身は少し接地位置が前にズレてしまいました。

飛び降り

こちらもシンプルに、高いところから飛び降りるトレーニングです。

自分が飛び上がれる高さより高いところから降りた場合、通常かかることのない高負荷をかけることができます。

特徴やトレーニング効果

トレーニングとしては非常にシンプルです。自分が生み出せる以上のエネルギーを「位置エネルギー」として持っておき、それを体に負荷として与えることができます。

バリエーションとしては、大きく2パターンに分かれると考えられます。

  • 着地後に伸張反射を利用して飛び上がる
  • フロントスクワットのように堪える

前者はボックスジャンプのハード版といったところでしょうか。一発の力を高める効果がありそうです。

後者は、より高いところから飛び降りた際は嫌が応にもこうなってしまうでしょう。これはこれで、筋群を総動員する効果があるのではと思っています。

とはいえ、このトレーニングについては具体的な研究が少ないため、何ともいえないことろではあります。

デメリットや注意すべき点

坂下り走と同じく、やはりハードな地面での実施はお勧めしません。

個人的には公園の遊具からの飛び降りなんかはお勧めです。高さもある程度調節できますし、下は芝生や砂であることが多いからです。

おそらく能動的な出力を出す練習よりも、主観的な負荷は少ないでしょう。しかし、かなりの負荷がかかる練習には違いありません。怪我には注意が必要です。

まとめ

今回ご紹介したトレーニングは、何と言っても手軽さが魅力です。

オーバースピードトレーニングとしては競技場でのトーイングも有効ですが、競技場があいている時間に行く必要があり、道具も必要です。

一方で、このようなトレーニングに関してはまだまだ研究数が少ないのが実情。適切な実施回数や、具体的にどのくらいパフォーマンスが上がるのかについては未知数です。そのあたりは各自工夫の必要があるといえます。

個人的にはお勧めしたいトレーニングです。

 

今回はここまで。