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「この人を見よ」という現象について思うこと

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どうも、森です。

前回の記事でニーチェ御大の著書を引用したわけですが

正直引用し足りないので、もう少しだけ書かせていただきます…。笑

自己顕示欲について

近年のネット、特にリテラシーとセットで話題になる「自己顕示欲」。何かとトラブルの種になっている印象がありまよね。

自分自身の力量や存在を目立たせたり、他人から注目を浴びようとしたりする欲望のこと。

字義通りには「自己顕示」をしたいという「欲」という意味になるが、「自己顕示欲」という風に表現する場合は、批判的に使われる場合が多い。

weblio辞書 より引用

「自己顕示欲」と検索してもあまり論文などがヒットしませんので、学術的な用語ではないのかもしれません。承認欲求のいずこかにカテゴライズできるとは思うのですが。いわゆる食欲、睡眠欲、性欲の3大欲求に次ぐグループに位置するといわれています。

この欲求は本来、人間が持ちうる欲求としてはごく自然な欲求です。御大の著書「人間的な、あまりに人間的な」でも、自己顕示欲に関してこのような言及があります。

自己顕示欲。要するに、自分だけ目立ちたい、自分だけは特別に注目されたいという欲望。パーティに出てみると、これがよく見えてくる。それぞれに自分だけ注目されようとしている。彼らのこういう計算は間違っている。

自分こそ注目される役者であり、他の物は観客だと思っているからだ。それぞれが思っていて、観客がいないという芝居なのだ。だから、結局は誰も注目されていないことになる。

人生においても、しばしば同じことが起きている。ある人は権力で、ある人は学歴で、ある人は同情を誘う哀れさを見せることで、それぞれに目立とうとしている。だが、注目されるという目的は果たされない。なぜなら、他の人みんなが自分の観客だとそれぞれに思っているからだ。 

このあたりはいかにもニヒリズムらしいなという感じがあります。とはいえ、こう明晰なニーチェ自身、この自己顕示欲との葛藤に苦悩していた節があります。

「この人を見よ」という現象について

ニーチェはその晩年、精神に異常をきたしました。その発症前年の著作とされるのが「この人を見よ」。超有名な本ですので、細かい所は割愛します。

ここでいう「この人」とはニーチェ自身のことを指していて「いかに自分が明晰であるか」ということを書いたわけです。ちなみにこの本、目次からしてエンジン全開です。 

・なぜ私はかくも賢明なのか

・なぜ私はかくも怜悧なのか

・なぜ私はかくも良い本を書くのか

・なぜ私は一個の運命であるのか

「この人を見よ」はニーチェの死後数年を経て出版されたものです。100年前の人が「ほう、ニーチェの遺作か…」と本を手に取ると、目次がこんな感じなわけです。

きっと新世紀エヴァンゲリオンの最終話を見た後みたいな表情になっていたことでしょう。 

二ーチェ自身、不遇といえば不遇の人物です。

恩師のリッチェル教授からは処女作について「才気に走った酔っ払い」 と評されたり、自身を評価していたワーグナーと決別したりと、とにかく理解者が少なかったのではないかと思います。ニーチェ自身、生前は著名人に対して一方的なレスバトルをしかけまくっていた人物なので当然といえば当然なのですが…。

「この人を見よ」でも、そのあたりに触れて長々とレスバトルに至った経緯などが書かれています。

相手を軽視している場合、戦いということはありえない。相手に命令をくだし、いくぶんでも見下している場合には、戦うにはおよばない。

▲この後に長々と続く

 

ただ、こういった振る舞いがある意味ギリギリ許されたのも(当時は微妙に許されていなかった感はありますが)優れた才覚あってのことです。

問題なのはこの現代で、猫も杓子も「この人を見よ」と発信し始めてしまったことではないでしょうか。

自己顕示欲と上手く付き合う

今や現実とインターネットは、かなり地続きに近い関係になりつつあります。

「現実社会で上手く行っていない奴の方がネットでは面白い」という意見を見かけますが、それはある意味当たり前のことです。

欲求の総量が100として、現実で90の充足が得られている人はネットで発散する必要などありません。逆も然りで「ネットで面白い人とオフ会したら、めっちゃ冴えない人が来た」というのもある意味当たり前ではないでしょうか。

自己顕示欲と上手く付き合う方法は、まず自分の充足度合いを分析してみることです。

「ネットで尖った意見を発信することが増えたな」というのは個人的に黄信号だと思っています。現実で精力的に活動する度合いを増やしていくべきでしょう。

なにも、いきなり大きな活動をしなくても問題ありません。コツコツ積み上げられるもので結構ですので、ランニングや筋トレ、何冊か読書をしてみるだけでも随分違ってくると思います。

ネットバトルの渦に一旦入り込んでしまうと、延々と戦い続けることになります。個人的にはオススメしません。

 

…まぁ、この界隈も遠からず虚業系は淘汰されてくるでしょう。肉級 氏のブログマダムユキ 氏のブログなども拡散されてきています。最近特にそう感じるようになりました。

虚業には気をつけましょう。自戒を込めて。

 

今回はここまで。