どうも、森です。
珍しく連続して陸上競技の話題です。
陸上競技のワールドランキング制度採用が見送りに
先日の更新でも触れたとおり、2019年のカタール世界選手権から「ワールドランキング制度」が採用される見通しでした。
大会のグレードと、そこでの順位に応じてポイントが付与され、世界ランキング◯◯位までが世界大会に出られます…といった制度です。
この制度に移行する真意はわかりかねますが、これにより「スポット的なドーピングによる一発の好記録」「計測方法の怪しいローカル大会での好記録」などを排斥する狙いがあったのでは?と思っています。
もちろん、従来の標準記録制と比較した場合、計画的な試合出場や転戦が必要となってきます。これに対応すべく日本陸連も対応を急いでいましたが、ここに来て突然の採用撤回。
制度採用見送りに関する声明では「未確定の部分が残っており、協議の期間を延長する。練習や準備への影響を避けるため、既存の制度を続けることにした」となっています。うーん、何ともコメントしがたい内容ですね。
ワールドランキング制度の問題点
今一度冷静になって考えてみると、ざっと思いつく限りこの制度にはかなりの問題点があることがわかります。
より陸上競技が商業主義的になる可能性がある
例えば「大会のグレード設定」。これにより、トップ選手がローカルな大会に出場する意味が殆ど無くなってしまいます。
グレードの高い大会を開催するには、何かと資金を要します。主催者側からみても負担増の懸念があるわけです。
当然、出場する選手も転戦費用がかなりかかることになります。スポンサーの付いていない選手はかなり苦しいことになってくるでしょう。
また、現状でも国際陸連が主催するダイヤモンドリーグをはじめとするグランプリ大会は、有力な代理人の有無で振り分けられるレーンが違ってくると聞きます。
実力が全く拮抗した選手がいたとします。片や6レーン、片や1レーンともなれば、1レーンに振り分けられた選手はかなり不利を被ることになります。
付いているスポンサーで出られる大会やレーンが決まってくるのはフェアではないでしょう。
怪我をしたら一発終了コースの可能性がある
例えば、春先に軽い怪我をしてしまったとします。従来の「標準記録制」であれば日本選手権やギリギリ南部記念くらいまでは追試が受けられる状態です。
また、前年の秋あたりに標準記録を突破してさえいれば、世界選手権までに調整し直すこともできます。
これがランキング制度となった場合、単純に欠場した試合の分は他の選手が上がり、順位が後退していくことになります。
試合数をあまりこなせないタイプの選手が怪我をしてしまった場合、タイミングと程度によっては一発終了コースの危険性があります。
どんな制度にも問題はある
上記ではランキング制度の問題点を書きましたが、どんな制度にも問題点はあります。
現行の標準記録制度にしても、例えば100mの標準記録が10秒10だったとしましょう。
アベレージ10秒2台、10秒09を一回だけ出したA選手、10秒11〜10秒15をコンスタントに出せるB選手が居たとすると、B選手は世界大会に出場できないわけです。
ともあれ、今回の決定は「世界大会の出場要件としてのワールドランキング制度採用の見送り」であって、「ワールドランキング制度」自体は2019年から導入される見通しです。
ぶっつけで東京五輪での採用となるのか、それ以降の採用なのか… 。気になるところですが、来年の経過次第かなという感じですね。
続報を待ちましょう。
今回はここまで。