【caution!】
現在、市販されていないスパイクについての記事です。
どうも、森です。
皆さんには「思い出の一足」というものはありますか。
私は一足選べと言われたら、間違いなくこのスパイクを推します。
そのくらい思い出深い一足です。
概要
クロノインクスSS-Vは、当時から発売されていましたクロノインクスの亜種的なシリーズとして発売されました。
今回登場するSS-Vは2006年発売。当時ミズノ所属であったトップ選手・末續慎吾選手モデルといわれていました。
いうほど末續さん試合でコレ履いてたかな?
革新的だったエアロカバー
見た目のからわかる通り、クロノインクスSS-Vの最大の特徴はこの足袋のような外観です。
▲当時の仲間内でも通称「足袋」だった
これはスプリンターの走行中データから、足先(末端)のスピードが50km/hだか60km/hにも達するというデータから着想を得たもので、空気抵抗を軽減する狙いがあったようです。
スパイク表面の凹凸を無くすことで、データ上では30%ほど空気抵抗を軽減できる…というような説明書きがされていたと記憶しています。
エアロカバーの中身は…
構造そのものは従来のクロノインクスにエアロカバーを上乗せしたような構造で、10gほどクロノインクスより重かったようです。
革新的すぎたのか、当時としてもそこまで多くの人が履いている印象はありませんでした。普通にスケルトンタイプのクロノインクスユーザーが多かったです。
▲中身はこの通り、スケルトンタイプのクロノインクス
この通りエアロカバーは後ろのマジックテープで止めています。エアロカバーモデルは、他にもチャック式のものもありました。
使用感など
何だかんだ高2〜大2まで試合で普通に履いていたスパイクですので、どうしても思い出補正が大きいと思います。ご了承ください。
接地からの抜けが抜群
▲構造のほぼ全てが現行インクスと違います
最大の特徴はエアロカバーですが、当時のクロノインクスの良さがそのまま流用されています。
特に土踏まずから前足部にかけての支え台構造は、現行のクロノインクスと全く違います。これにより、慣れていない内は若干カクついた感じになります。
コツとしては「逆らわずにそのまま離地まで持っていく」ことです。慣れてしまえば良いポジションで脚が返ってくるようになります。とにかく接地からの抜け方が最高でした。
▲現行のインクス。支え台が直線的だった時と比較して丸みがある印象
当時から10年以上経過した今、ソールは全く別物と言っていいほどのものになりました。2008年以降のクロノインクスは「何かスッポ抜けるな…」というのが私の印象です。
2008年以降のモデルに順応できず、やむなくミズノから乗り換えたユーザーも多いでしょう。ただ、2018年現在は以前ほどの迷走感はないようです。
他のスパイクとの比較
現行のインクスは人に譲ってしまって手元にありませんので、クロノブレイクと簡単に比較したいと思います。
▲ヒール周りの感じは似ている
プレート構造・ピン配置
▲ピンも本数以外はかなり違う
プレートは言わずもがな、かなり違いがあります。
ピンも今のようなニードルに近い構造ではなく、円柱型でした。
プレートの傾斜
▲古いので参考程度に
なにぶん古いスパイクで変形している可能性があります。参考程度にといったところですが、クロノブレイクよりは若干傾斜自体は緩い気がします。
クロノブレイクは上から押すとわかり易いですが、スルリと前に荷重してそのまま抜けていくような構造になっています。
▲ちょっとクロノブレイクは反っているようにも見えますね
良い点・悪い点
トータルバランスの良さ
良い点についてはさきほど書いた通りです。正直、反発だけでいうと同時期アシックスから発売されていた「サイバーステルス」に軍配が上がります。
ただし、サイバーステルスはベルトフィッティングでしたので、諸々含めたトータルバランスではクロノインクスが若干上だったのでは…と思っています。あとは好みの問題でしょう。
スケルトンタイプと差別化し切れなかった
後継モデルが出なかったと思われる理由その1です。
空気抵抗軽減という効果を謳ってはいますが、体感はほとんどありませんでした。スケルトンタイプの方が若干ではありますが軽量であったこともあり、重量をプラスしてでも空気抵抗軽減をとるメリットを明確化し切れなかった感はあります。
耐久性に難があった
後継モデルが出なかったと思われる理由その2です。
エアロカバーの接合部が大変もろく、人によってはすぐ駄目にしていました。
私はスパイクを壊したことは1回もないのですが、それでもエアロカバーの接合部には多少の亀裂が入っています。
今はスタートを擦り気味に出る選手も多いので、今使われたらもっと各所で破れまくっていたと思います。
総評
一口で言うなら「ワクワクさせてくれるスパイクだった」と思います。
結果的には市場から短期間で姿を消してしまったわけですから、商業的には成功したとは言い難いかもしれません。
しかし、科学的データに基づいた先進的な構造、革新的なデザイン…まさにミズノの全盛を象徴するスパイクといえましょう。
個人的には、またこんな風にワクワクさせてくれるスパイクが出てこないかな…と思っています。
ミズノさん、限定モデルでいいから復刻しれくれませんかね…つま先ガード付きで。
今回はここまで。